Winstein CJ, Wolf SL, Dromerick AW, Lane CJ, Nelsen MA, Lewthwaite R, Cen SY, Azen SP; Interdisciplinary Comprehensive Arm Rehabilitation Evaluation (ICARE) Investigative Team. Effect of a Task-Oriented Rehabilitation Program on Upper Extremity Recovery Following Motor Stroke: The ICARE Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016 Feb 9;315(6):571-81

2009年6月から2013年2月にかけて、米国の7施設で行われた、多施設、二重盲検下、無作為比較試験。11051名の対象者のうち、取り込み基準に見合った361名を3つの群に割り付けた。取り組み基準は以下の通りである。

・発症106日以内の脳梗塞または脳出血の患者
・上肢または手に片側の麻痺がある
・随意的な手指伸展がみられる
・年齢は21歳以上
・コミュニケーションが可能
・すべての評価、作業療法に進んで参加する

ASAP群(Accelerated Skill Acquisition Program):1時間の課題指向型訓練を週3回、10週実施した。課題指向型訓練を構成する概念として、生活機能障害に焦点化し、課題特異的で、集中的で、主体的に従事し、協調的で、自ら方向性を決め、患者中心の治療、を含んでいる。詳細は以下の論文を参照。

Winstein CJ, Wolf SL, Dromerick AW, et al; ICARE Investigative Team. Interdisciplinary Comprehensive Arm Rehabilitation Evaluation (ICARE): a randomized controlled trial protocol. BMC Neurol. 2013;13(5):5.

UCC群(Usual and Customary Care):通常で一般的な作業療法であり、保険者(民間保険、HMO、メディケア)のガイドラインに基づいて、対象者の担当作業療法士が介入方法と量を決める。

DEUCC群(Dose-Equivalent Usual and Customary Care):通常で一般的な作業療法であり、ASAPと練習量を合わせた群。

ASAP群とDEUCC群では、練習量は最低27時間を遵守とした。

Primary Outcomeは、Wolf Motor Function Test(WMFT)の時間スコアの対数変換、Secondary Outcomeは、WMFTの時間スコア、Stroke Impact Scale(SIS)の手の機能の項目で25ポイント以上改善した対象者の割合とした。

対象者は、脳卒中発症後平均45.8日(SD:22.4)を経過しており、上肢に中等度の麻痺(Fugl-Meyer Assessmentで平均41.6ポイント(SD:9.4))を呈している脳卒中患者であった。

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図は論文から引用

結果は、3群でWMFT、SISともに有意な差がみられなかった。少なくとも27時間の練習量を遵守したのは、ASAP群で79%、DEUCC群で74%であった。合計の練習量は、ASAP群で平均28.3時間、DEUCC群で平均26.7時間であった。UCC群は対象者の81%で何らかの麻痺側上肢に対する練習を受けた。UCC群の合計の練習量は、平均11.2時間であった。

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図は論文から引用

中等度の上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対して、構造的な課題指向型訓練は、低負荷または同等の練習量の通常の上肢練習と比較して有意な運動機能の改善や回復はみられなかった。中等度の上肢麻痺に対してASAPは優位な効果はない、と結論づけている。

私見。ASAP群は、1セッション1時間の課題指向型訓練を週3回、10週実施しているが、この練習量が本当に"intensive"なのだろうか。対象者は、脳卒中発症後平均45.8日(SD:22.4)を経過した患者さんであり、回復段階の真っ只中である。その患者さんに、合計30時間の上肢練習を10週にわたってのんびり実施するのは、いかがなものなのかと思ってしまう。

中等度の上肢麻痺を呈した回復期の脳卒中患者に対して、10週にわたる合計30時間の練習量は、半分以下の11.2時間と同等の効果であった、と結果は示されている。おそらく、脳卒中発症後60日以内のEalry OnsetでFugl-Meyer Assessmentが36点以上のLow Severityの患者さんが、対象者の7割程度を占めており、反応性が良かったのが1つの要因であったと思われる。

Outcomeが、WMFTとSISのみであったのも気になる。ICFの参加領域やQOL関連領域の測定指標があってもよかったのではないか、と思われる。

この臨床試験の介入プロトコールは、なんか微妙だ。