Keep On Thinking

少しでも日本の医療を良くして、多くの人々が健康な生活を送ることができる世の中にしたい。このブログは自分の思考の軌跡を綴る場であり、少しでも多くの人々に「気づき」を与える場でもある。医療、社会全般、科学にも視野を広げ、リハビリテーションや神経科学などの分野も紹介します。「必要なのは、信じる心ではなく、それとは正反対の、知ろうとする心である。-バートランド•ラッセル」

高次脳機能障害

補足運動野の損傷で、なぜ掴んだ物品を放せなくなるのか?(高次脳機能研究から)

中嶋理帆,中田光俊,沖田浩一,八幡徹太郎,林裕.上前頭回,中前頭回,帯状回,脳梁を含む領域の脳腫瘍摘出術と補足運動野の梗塞により手指に限局する特徴的な運動症状を認めた1例.高次脳機能研究35(4):363 – 369, 2015

補足運動野の損傷によって、掴んだ物品を放すことができない、または放すのに逡巡する症例が時折存在する。それは、把握反射や本能性把握反応ではなく、より高次の機能が影響していると推察される。本症例報告は、その症状に焦点を当てたものである。詳しくは論文を参照していただきたい。斜体部分は引用(若干改編している)である。

症例:30代、右利き男性。会社員、教育歴16年
右前頭葉(吻側補足運動野(pre-SMA)を含む右上前頭回、中前頭回、帯状回、および脳梁を含む領域)に腫瘍性病変を認め、開頭腫瘍摘出術を施行。右上前頭回、中前頭回、帯状回、脳梁の一部を摘出した。術後MRIでは、右尾側SMA(SMA-proper)に新鮮梗塞巣を認めた。

【神経学的所見】
・表在・深部感覚ともに正常
・明らかな麻痺はなし
・パデューペグボードテストでは、両手動作において左手の動作の拙劣さがみられた

【神経心理学的所見】
・種々の検査から処理速度と選択的注意の低下を認めた
・運動無視は数日で消失
・観念失行、観念運動失行、把握反射、本能性把握反射はいずれも陰性

左手の臨床症状
・持ちかえる、投げる(タイミング制限あり)、落とす、の3つの項目が不可能であった
・本症例が左手指で把持した物は、いかなる物の上であろうと、また、手掌の向きによらず、落とす、すなわち空中で意図的に放すことはできなかった
「放そうと思うと指に張り付いてしまったように動かせなくなる」
「やり方を思い出せない」
・両手同時の動作、閉眼、心理的な緊張緩和により本症状が軽減することはなかった
・声かけなどの聴覚刺激による運動開始の合図は効果がなかった
・対象物や手掌の向きによらず、同じ状況下で常に生じた

まとめ
・放そうと意図し、かつ運動開始のきっかけが与えられない場合、つまり内発的な運動の場合にのみ生じていた
・体性感覚刺激による運動開始のきっかけが与えられた外発的な運動の場合は、容易に放すことができた
・手指の運動開始の自動性が高い運動の場合、容易に手指を開くことができた

著者らは、以下のように考察している。
1. SMA症候群:一過性の片麻痺と言語障害(Rostomilyら 1991)
→当てはまらない

2. 興奮-抑制の不均衡
☆抑制系の障害
保続:一旦実現された反応様式、運動行為の抑制の障害(Luria 1965)
   運動行為の抑制が障害されると、一旦実現された運動を止めることができず、同じ動作が繰り返される(佐久間 1989)
本症例が意図的に物を放すことができなかったのは、手の力を抜くことや把持するという手の形を中断することが困難であった
→本症例の症状は、運動の保続といった運動行為の抑制系の障害とも捉えられる

☆興奮系の障害
本症例の物を把持すると手指の意図的な運動開始が困難となる症状は、SMAと帯状回の損傷により感覚入力から運動出力までのネットワークに異常が生じ、意図的な運動開始に必要な”go sign”が伝達されなくなったために生じた

手指開放の自動性が高い投げる動作や、体性感覚刺激による運動開始のきっかけが与えられる外発的な運動、例えば、他者に手渡す、置くといった動作ではスムーズに手指を開くことができた

物を介して加わる体性感覚刺激が、運動開始のきっかけ(トリガー)となっていた可能性があるが、本症例は運動開始の障害のトリガーも物を把持したことによる体性感覚刺激と推察されることから、同一種の感覚入力が運動開始の障害とそれに続く運動開始、両者のトリガーになるとは考え難い。
→両者は異なる種類の体性感覚刺激(例えば、触覚刺激と圧覚などの深部感覚刺激)がトリガーになっていた可能性がある

以上により
運動の抑制系または、興奮系の障害、さらに、抑制-興奮の不均衡により生じた
促進的あるいは抑制的に運動を制御する神経機能ネットワークと関連する部位の障害が、限局した部位の症状発現に関与している可能性がある


私見。
“放す”のなかでも、“置く”と“落とす”の違いは何か
物を把持し続けるために手指屈筋群、手内在筋群に強いフィードバック、フィードフォワード制御がかかっている
→頭頂葉が強く関与する

“落とす”:屈筋群のフィードバック制御、フィードフォワード制御を中断する。さらに、伸筋群を働かせるために、伸筋群の運動の抑制を開放する必要がある
→機能乖離によって、頭頂葉の働きが過剰となっているので、SMAが働きにくくなっている?

“置く”:床反力が生まれることで、フィードバック制御、フィードフォワード制御の関与が減少する
→頭頂葉の関与が減少する?
頭頂葉と前頭葉のネットワークの障害?

“持ちかえる(物に接触している指を動かす)”と“持ちかえる(物に接触していない指を動かす)”
上記の説明が当てはまる?

“落とす”と“投げる(タイミング自由)”
意図性と自動性?両者の行為の差異は何か?

本症例は、補足運動野以外の他の領域も損傷されているため、それらが症状の出現に影響していたのか?

半側空間無視に関する短報が、作業療法ジャーナルに掲載されました

竹内 健太, 竹林 崇, 笹沼 里味, 島田 真一. 机上での神経心理学的検査とCatherine Bergego Scaleによる行動評価で半側空間無視の乖離がみられた右半球損傷患者の検討. 作業療法ジャーナル 2016; 50: 97 - 101.

半側空間無視に関する短報が作業療法ジャーナルに掲載されました。机上での神経心理学的検査とCatherine Bergego Scaleを用いたADL場面での行動評価との間で半側空間無視の乖離が起きる要因を検討したケーススタディです。机上検査と実際のADL場面との間で半側空間無視の乖離が起こることは知られていましたが、乖離の要因を検討した研究論文は意外にも少ないです。本論文では、半側空間無視の評価において、机上検査に加えてCatherine Bergego Scaleを使用することを勧めています。

私の後輩から聞いた話しですが、私の後輩があるセミナーに参加し、セミナーの演者が大勢の聴衆に対して「勤めている病院で、Catherine Bergego Scaleを使っている人がいましたら挙手をお願いします」と聞いたところ、後輩を含めて2人ぐらいしか手が挙がらなかったそうです。その話しを聞いて、私は、Catherine Bergego Scaleに対する知名度はまだまだ低い、という印象を受けました。

短報を読んでいただき、Catherine Bergego Scaleを臨床に取り入れてみてはいかがでしょうか。本論文に対するご意見、ご指摘がありましたら、よろしくお願いします。

脳卒中後の失語の回復において、右半球の代償は良好な失語の改善を導く

Science Dailyから

Righting a wrong? Right side of brain can compensate for post-stroke loss of speech

左半球が優位半球の人では、脳卒中による左半球損傷により、失語を呈することがある。失語からの回復において、右半球の関与は、良好な失語の改善を導くのか?記事によると、この論争は130年以上も続けられているらしい。今回、その論争にまた一つ答えが出たらしく、右半球の関与(代償)は、良好な失語の改善を導くみたい。原著は以下の論文である。

Shihui Xing, Elizabeth H. Lacey, Laura M. Skipper-Kallal, Xiong Jiang, Michelle L. Harris-Love, Jinsheng Zeng, Peter E. Turkeltaub. Right hemisphere grey matter structure and language outcomes in chronic left hemisphere stroke. Brain. 2015 Oct 31

ちなみに運動機能に関しては、非損傷半球の関与(代償)は、あまり良好な改善を導かない。その一つの理由としては、非損傷半球から損傷半球に対する抑制が強くなるからである。しかし、大脳の広範囲な損傷では、非損傷半球の関与が重要になってくる。このあたりの議論は、はっきりしておらず、まだ決着がついていないのかな。

脳卒中機能回復における神経ネットワークを基にしたリハビリテーション:Keep On Thinking

把持動作における視覚の背側経路と腹側経路の相互作用(Neuropsychologiaから)

Vonne van Polanen, Marco Davare. Interactions between dorsal and ventral streams for controlling skilled grasp. Neuropsychologia (2015)

把持動作における視覚の背側経路と腹側経路の相互作用についてのレビューがオープンアクセスになっています。勉強したい方はどうぞ。論文のハイライトを日本語訳しておきます。

・スキルのいる把持動作には背側経路と腹側経路の両方が関わる
・腹側経路は、物品の識別についての情報を背側経路に与える
・複雑性が増す把持動作では、腹側経路の関与が徐々に高まる
・背側経路への入力は、腹側経路に保持されている物品の表象を微調整する

脳内における言語領域のマッピング

Science Dailyから。原著はこれです。

音韻形式(Phonological form)の産生、認識の障害はシルビウス裂周囲が関与している。一方、意味産生(semantic produciton)と意味認識(semantic recognition)の障害はそれぞれ、左側頭葉の前方と前頭葉と連結する白質の損傷が関与している。

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図はScience Dailyから引用

半側空間無視患者の頭頂葉皮質に対するtDCSの効果は乏しい(Neuropsychologiaから)

Miranda Smit, et al.:Transcranial direct current stimulation to the parietal cortex in hemi- spatial neglect: A feasibility study. Neuropsychologia 74 (2015) 152–161

本研究は、半側空間無視患者患者の頭頂後頭葉皮質に対するtDCSが、半側空間無視の改善に効果があるかどうかを検証した、二重盲検、無作為比較試験。89名の患者から取り込み基準に見合った5名を対象とした。5名の対象者は、脳梗塞または脳出血によって右半球を損傷しており、脳卒中発症から評価日までの期間のrangeは1年〜12年4ヶ月であり、慢性期の患者である。バーサルインデックスのrangeは10〜18点、行動性無視検査(BIT)の通常検査のrangeは56〜136点であった。tDCSまたはプラセボは、連続5日間、2mAの強度で頭頂葉皮質に1回20分実施した。研究の手順は以下の図の通りであった。プライマリアウトカムは、BITの通常検査であった。

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図は論文から引用

結果は、tDCSの実施に関連した効果は、BITの得点の変化量や下位項目のパフォーマンスにみられなかった。

結論として、本研究では、頭頂後頭葉皮質に対するtDCSは、慢性期の半側空間無視を改善する証拠を得られなかった。対象者の選定において、大半の患者が除外される結果となり、慢性期の半側空間無視患者を対象とした大規模な無作為比較試験は実現可能性がないことが示された。

私見。tDCS単独のみでは机上での無視に対して効果がない。tDCS単独ではなく、無視側の上肢の運動を併用し、ADLにもつなげるべきだと思われる。除外基準は以下の通りであり、tDCSを実施できる患者は限られる。

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図は論文から引用

半側空間無視に対する動き刺激を取り入れた抹消課題(PLoS ONEから)

半側空間無視に対する検査として、最近では、タッチスクリーン型のMotion Stimuli(動き刺激)を取り入れた抹消課題が開発されている。

Hopfner S, Kesselring S, Cazzoli D, Gutbrod K, Laube-Rosenpflanzer A, Chechlacz M, et al. (2015) Neglect and Motion Stimuli – Insights from a Touchscreen-Based Cancellation Task. PLoS ONE 10(7): e0132025. doi:10.1371/journal.pone.0132025

左半側空間無視を呈した右半球損傷患者25名を対象にして、タッチスクリーン型の動き刺激を取り入れた抹消課題を用いて無視の程度を検証している。さらに視放線が残存しているか、障害されているかに分けて、無視の程度を検証している。

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図は論文から引用

結果は、視放線が残存している対象者では静的な刺激と比較して動き刺激を取り入れた抹消課題で、無視の程度が有意に改善した。しかし一方で、視放線が障害されている対象者では、無視の程度が有意に悪化した。

13
図は論文から引用

結論、動き刺激は脳卒中患者における無視に影響を及ぼすかもしれない。視放線が残存しているか否かは、動き刺激が無視の程度を改善させるか悪化させるかどうかの予測因子になるかもしれない。

高次脳機能障害者に対する就労リハビリテーション

浦上裕子,山本正浩.高次脳機能障害者の就労にむけたリハビリテーション -発症から1年後の介入について-.高次脳機能研究 35 (1):9 ~ 18, 2015.

国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、過去5年間で就労を目標に医学的リハビリテーションを行い、カルテなどで3年後の帰結が追跡できた高次脳機能障害者100名の発症から1年後の帰結、神経心理学的検査、就労準備性、3年後の帰結を後方視的に分析した研究。高次脳機能障害者の疾患の内訳は、外傷性脳損傷39名、脳血管障害35名、脳炎9名、低酸素脳症10名、脳腫瘍7名であった。年齢は20歳から59歳、男性84名、女性16名であった。

対象者100名の発症から1年後の帰結は就労・復学が35%、就労にむけた訓練が34%、福祉的就労(作業所)が5%、在宅生活が15%、施設が11%であった。リハビリテーション開始時には、1年後の就労・復学群のほうが、就労にむけた訓練群よりもWAIS-靴痢崕萢速度」、RBMTの標準プロフィール点、TMT-AとBの点数が有意に高く、就労にむけた訓練群は、就労準備項目に多くの支援を必要とした。就労にむけた群では、3年後に67.6%の対象者が就労となった。

高次脳機能障害に対する就労リハ
図は論文から引用

結論では、発症から1年後は就労継続または医学的リハビリテーションから福祉機関へ訓練移行する時期であり、この時期の就労準備訓練が3年後の就労を促進する可能性がある、とのこと。

神経心理学的検査に関する考察では、TMT-Aは選択的注意を、TMT-Bは分配的注意を評価するものであり、これらの結果から作業に集中できない、複数のことを同時処理できないといった障害が推測される。そして、これが「就労移行支援のためのチェックリスト」の「働く場での行動・態度」の中の「持続力、作業速度、作業能力の向上、作業の正確性」の項目の不足につながっていた、と述べている。RBMTで評価される日常生活で要求される記憶の能力、人名の記銘と遅延再生、未知相貌と日用物品の記銘と再認、道順の記銘と遅延再生、予定記憶などの障害が就労・復学群と比べて就労にむけた訓練群では、有意に低かったことも関連している、と述べている。

私見。高次脳機能障害者100名を後方視的に分析できるだけの、データの管理とリハビリテーションの実践に対して感銘を受けてしまった。地道にリハビリテーションの実践を積んで、データを蓄積して、分析して公表していくことは臨床家として大切なことである。改めて勉強になった。考察で述べられているように、神経心理学的検査の結果から、職場復帰や復学する上でどのような問題が生じるのか、推測することが重要である。患者さんの生活にどのような問題が生じ、残された機能のどの部分が生活に活かされるのかを推測するために、検査があるといっても過言ではないだろう。

就労支援のためのチェックリスト.独立行政法人高齢・障害者職業総合センター

急性期脳卒中患者における模倣とパントマイムの障害の神経基盤

Markus Hoeren, Dorothee Kummerer, Tobias Bormann, Lena Beume, Vera M. Ludwig, Magnus-Sebastian Vry, Irina Mader, Michel Rijntjes, Christoph P. Kaller and Cornelius Weiller. Neural bases of imitation and pantomime in acute stroke patients: distinct streams for praxis. Brain 2014: 137; 2796–2810.

96名の急性期脳卒中患者(脳卒中発症後平均5.3日)を対象にして、模倣とパントマイムの神経基盤を明らかにするために、voxel-based lesion-symptom mappingを実施した。対象者は、無意味な手や手指の形を20パターン模倣する検査と、絵に描かれた日常で使用される14の道具をパントマイムする検査を実施した。それらの検査のスコアと損傷部位との関連性を統計学的に分析した。

その結果、後頭頂間溝や上頭頂小葉といった後頭葉から頭頂葉への背-背側経路が、手の模倣の障害に強く関連していた。一方、パントマイムの障害は縁上回のような腹-背側経路と関連していた。特に、腹側経路における側頭葉の前部領域の損傷で、パントマイムにおけるcontent errorが明らかにみられた。一方、movement errorに関連する一貫した特異的な損傷領域は明らかでなかった。結論として、模倣は主に視覚から運動への変換とオンラインの運動制御を必要とし、それらには背-背側経路が関与する。一方、パントマイムは行為のengramの蓄積と、道具と行為の関係性の検索を必要とし、それらには腹-背側と腹側経路が関与する。

私見。本研究は、急性期脳卒中患者を対象にして、"失行"に関連する脳神経領域を調査することを目的としている。参考文献は、ざっと100ぐらい。この研究論文をきっかけに、”失行”に関してまた調べてみようかな。

半側空間無視に対するミラーセラピーは有意な効果がある。~MUST trial~

Pandian JD, Arora R, Kaur P, Sharma D, Vishwambaran DK, Arima H.Mirror Therapy in Unilateral Neglect After Stroke (MUST trial): A randomized controlled trial. Neurology. 2014 Aug 8.

背景:本研究は、脳卒中患者の半側空間無視の治療におけるミラーセラピー[mirror therapy]の効果を検証するためである。
方法:本研究は、2011年1月から2013年8月にかけて実施された、オープン試験、エンドポイント盲検化、無作為コントロール試験である。脳卒中発症後48時間以内で半側空間無視を呈した、視床と頭頂葉に損傷が及んだ脳卒中患者である。患者をミラーセラピー群と対照群(偽のミラーセラピー)のいずれかに無作為に割り付けた。両群ともにlimb activationを実施した。治療は1日1時間から2時間、週に5日、4週間実施した。プライマリーアウトカムは星印抹消課題、線分二等分線、picture identification課題で評価し、評価者は盲検化された。評価は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月で実施した。
結果:48名の患者が、ミラーセラピー群(n=27)または対照群(n=21)に割り付けられた。ミラーセラピー群において、6ヶ月にわたり星印抹消課題のスコアで有意な向上がみられた(平均差23、95%信頼区間 19-28; p<0.0001)。同様に、ミラーセラピー群において、picture identification task(平均差3.2、95%信頼区間 2.4-4.0; p<0.0001)と線分二等分線(平均差8.6、95%信頼区間 2.7-14.6; p=0.006)で有意な向上がみられた。
結論:脳卒中患者において、ミラーセラピーは半側空間無視を改善させる簡潔な治療である。

インドの病院で実施されたRCT。402名の患者のうち、48名を2群のいずれかに無作為に割り付けた。ミラーセラピー群は、1時間のミラーセラピーと1時間のlimb activationを実施した。上肢や下肢に重度の麻痺があり、自動運動が困難であれば、セラピストが介助して実施した。対照群は、鏡のついていない偽のミラーセラピーを実施した。訓練量は両群で同じであった。

ミラーセラピー無視
図は論文から引用

ベースラインにおいて、星印抹消課題のスコアは、実験群が18±5、対照群が18±6であり、この課題から判断すると中等度から重度の無視を呈している。上肢の麻痺の程度は記載なし。

結果は以下の通り。セカンダリアウトカムでFIMもとっているが、6ヶ月の時点でミラーセラピー群のほうが、良い結果が得られた患者がより多かった、との記載があるのみ(データはNeurologyのウェブサイトを見ろとのこと)。

ミラーセラピー無視3
図は論文から引用
ミラーセラピー無視2
図は論文から引用

私見。星印抹消課題のスコアでみると、ミラーセラピーによって無視に対する改善効果が結構みられる。両群のFIMの変化量は確認していないため、日常生活上での半側無視に対して効果があるのかわからないけど(というか、なぜ原著にFIMのデータを載せないのか)。ベースラインでの抹消課題における中等度から重度の無視を考えると、意識障害や注意障害の程度が気になる。それらの要因によって、ミラーセラピーが適切に実施できるのかが左右されるからだ。
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脳卒中リハビリテーションの必読書

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神経内科ケース・スタディ―病変部位決定の仕方
↑これ読んでから、ハンマー振る頻度増えました。


活動分析アプローチ-中枢神経系障害の評価と治療-【第2版】
↑第2版でました。ADLへの介入には大変参考になります。

↑第2版出ました!一般向けに書かれた脳卒中で失われた機能を回復するための戦略。

↑第2版の日本語訳です!
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