2018年03月16日

普段使いに中型スピーカはどう? その5

試聴テストを二カ月ほど続け細部の変更調整をして、二人共これがいいというところでOKを出した。 今回エンクロージャは、親の代からお世話になっている地元の木工所に製作していただくことになった。 というのも、T氏はTD124のフルレストアだけでなく、プレイヤキャビネット、アームボード、特注エンクロージャなどで仕事が待っており、比較的簡単な構造であるVIRITONEキャビネットは大丈夫だろうということになった。 しかし、ただ丸投げではない。 T氏は何度か木工所に足を運び、職人さんにまず音響製品と家具の違いを丁寧に説明している。 もちろん説明だけでは足りない。
以下のような作業指図書を木工職人さんに渡している。

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EPSON006EPSON007

以下T氏
このエンクロージャは1949年に英国ワーフェデール社が設計したものを多少サイズを変更して仕立て直したものです。 このスピーカは学校の授業で音楽を聴かせたり、マイクロフォンからの声の再生に使用されていました。 スピーカそのものの形式としてはバス・レフレックス型に属していて、前面下部に開けられた四角い開口部を空気の膜として働かせ、ユニット前面と同位相になるように調整すると豊かな低音域が再生されます。 この形式にはそれなりの欠点があります。 ダクトの開口面積が適切でないと音が下に伸びなくなってしまいます。
そこで開口部に開閉式のドアを取り付け、インピーダンスの急激な上昇を抑えるはたらきを持たせました。 ドアを閉じると密閉型に近い状態となり、低音域はなだらかに落ちながら伸びていきます。
英国の学校の生徒たちもいろいろ開け閉めして音の変化を聴いて遊んでいた風景がみえてくるようなエンクロージャにしてください。 こうして遊んでいるうちにオーディオに興味を持つきっかけになった子供もいたかもしれません。 ワーフェデール社長のA.G.ブリッグスは教育者としての側面があり、オーディオに関する本を多数書いていまから、きっとスピーカと子供たちのことを思い描いていたに違いありません。
構造としては当たり前の箱ではありますが、いざ製作するとなると案外むつかしいのです。 まず板材の質の選択と一枚一枚が持つ特有の響きを選り分けることが重要であり、かつ製作にあたり今自分が何をやっているかわからない人が作ると、音は出るけれど音楽がまったくダメという品ができてしまうからです。 音響製品は耐久性があって寸法がちゃんとしていれば良い家具とは違い、ネジの締め具合や木目の縦横でどんどん音は変化してしまいます。 エンクロージャ製作の指図書を見ても、なぜこんなことまでするのか分らないことがあると思います。
そういう時はアコースティックギターを思い起こしてもらいたい。 しっかりしたところとゆるんだところの両方が無いと鳴りません。 オーディオ用のスピーカというのもただしっかり、がっちり、作っていれば良いというものではないと、肝に銘じてほしいのです。 

RIMG0298


このシリーズは一旦中断して、完成品が木工所から仕上がってきたらまた


 

thorens
posted at 14:48

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