2017年02月25日

Garrard 301 キャビネットの一案

グレイではトーレンスTD124の販売およびフルレストアをしていますが、ガラード301のレストアを、と依頼されることがしばしばあります。 301は専門外ですので通常はお断りしているのですが、中にはやんごとなき事情があってお受けしなければならないこともあります。 こうして送られてくる301が載せられているキャビネットはやたらバカデカく、おもちゃの卓球台か小さなコタツに見まごうばかり、そのくせ音質的にはガラクタばかりです。 どれもが積層合板や建築ボードをくり抜いた矢鱈重いもので、これではせっかくレストアしても301をゴミ箱に投げ込むのと同様であり、そう思うとよけいにレストアする気がなくなってしまうのが現実です。 試しにおそるおそる聴いてみますと亜鉛を口に含んだように嫌な渋みがあって、ゴムっぽくて油臭い何とも気味悪い低音にまみれている。 301を使うにあたってやってはいけないことをすべて行っているのだから、こうした再生音になっても仕方がないのです。 多くのユーザはこうした再生音が301のこのたぐいの音で良しと信じ込んでいる。 それでもGarrard 301 は立派なフォノモータであるのは確かです。 目鼻立ちがはっきりした明晰であり、音数こそTD124にはかなわないけれど、ひかえめな音色、凛々しい音場をさくさくと香ばしく広げてくれます。 フォノモータとしての基本性能というか品質が高いのです。 したがってキャビネットでもってがんじがらめにして特別な色を付け加えるのは逆効果といえます。 はっきり言うと、キャビネットが大きくて重いほど301はその音質が劣化していくと考えたほうが良い。 301に適するキャビネットのはたらきは働かずして働くというのが本来あるべきすがたです。 
言うだけならだれでもできるので、今回は忙しいのにキャビネットを製作してしまいました。 天板は12亳シナとランバーコアを二枚重ねして木目はスタガーにしました。 P2150068ランバーコアは比較的柔らかな材質で、今までの経験から割り出して選びました。 ただシナにしてもランバーコアにしても作業場に隣接する材木屋にある豊富な木材から響きや乾燥度を考慮して選んでおり、シナなら何でもよいというわけではありません。 50-60年代英国製フォノモータは硬質木材を天板にすると中音域が必要以上に張り出して滲んだりエグミが出たりして英国製品固有のフラット感を失ってしまいます。 天板で強いエネルギのモータ振動を受け止めなければならないのに、弾ませてしまうのです。 弾めば音に芯とか倍音などはめちゃくちゃになってしまいます。 残響も薄くなり、音の立体感や影が識別しにくくなるのです。 こうして音楽含有量の多い再生音から遠ざかっていくのです。
側板はスプルース材に似たやや硬めの木材を使用します。 RIMG0271ここで振動を貯め制御します。 この即位谷は天板に取り付けられているガイド材によりネジ止めされています。 四隅の側板補強材はは選別した欧州松と呼ばれる木材で、スプルースとランバーコアの中間くらいです。 RIMG0272
安い材料ばっかりではないかと言われますが、家具の観点からすれば安物かもしれませんが、音響からすれば超高級材なのです。 このあたりを勘違いしていらっしゃる方が本当に多い。
アームエリアはSME3009とオルトフォンの9インチが取り付けられるだけのゆとりを持たせてあります。 大体の9インチアームならば取り付け可能でしょう。 アームボード交換は今回はコスト面を考慮して見送りました。 交換式にすると函体自体が大きくならざるを得ませんし、塗装代金も大幅に上がりますし、ということで当初のシンプルで小さくというアイデアに当てはまらないキャビネットになってしまいます。
RIMG0253

再生音はひずみ感のないクリアな音色と構成力ある音場を築いてくれました。 何より聴き疲れしません。 自然な音楽再生。 これが大きい。 ジャズ再生では301特有のエグミは消えていますし、クラシックでは気持ちよくスピーカをドライヴするシンプルな信号をアンプに供給しています。 アンプにretro50 を採用すれば301が最も苦手とするボサノバとクラシックを十分すぎるほど楽しめるでしょう。
もちろんその前提としては、いつも言っているように301そのものの基本性能がきちんと整っていなければなりません。 TD124のフルレストアほどではなくても、それに準じたレストアを施すのです。 確かに301は素人がクリーニングする程度でもそこそこ鳴るからいけないのです。 本来の再生音を聴いてみたければ、モータもトランスポート部もスピンドルケースもすべてシャシから外して、限りなく新品の状態にまで近づけないとこのキャビネットはその効果は半分も出ないでしょう。 本体の不具合がそのまま再生音に映るからです。 
以上T氏
 




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