
さくりさくり、踏みしめる足音を聞く。 林は潮騒の響きに包まれている。
松の一本一本、風にねじれて生長し、海と陸との間に、ゆっくりと歪んだ隙間を育ててきた。 元旦の薄暗い朝は、そろそろと過ぎてゆく透明な人たちを幾人か見たが、普段はこのとおり、人はいない。 誘い込む分かれ道の連続、気の向くままに迷っていこう。 空は狭く、波の音に満ちている。
深くなっていく呼吸。
海岸に沿って延びる松林は、心地良く歪んで生きていく。
寂しい風景になることもない。 林から潜り抜ける。
一瞬の輪を見て、おぎゃあ、と叫んだ。
清々とした。
写真をクリックすると拡大します