とうとう
友人夫婦は飛行機でパリに帰っていった。 僕等も電車で銚子に着いた。 まだ、彼らが日本に来ていたのが嘘みたいに感じている。 京都を離れて、逗子マリーナで一晩を明かし、鎌倉から新宿へ向かう。 都庁の展望ラウンジで下界を眺め、友人の中古レコード漁り、ゴールデン街に世界中の映画監督が集まる酒場を訪ねた。
もう十数年の付き合いになる。 七年程前にはプロヴァンスの夏の家へ招かれて、一緒にヴァカンスを過ごした。 それがこうして十数日、日本を一緒に回ってきた。 確かにレコードが取り持つ縁だが、彼はディーラーではない。 成田エクスプレス車中で、音楽の話をした。 『先月、シャンゼリゼ劇場でね、ドビュッシィの前奏曲集を聴いたんだよ。 チッコリーニが素晴らしかった(extraordinaire) 』 音楽の話は、この時が最初で最後だった。 見馴れているはずの日本なのに、彼らと一緒だと発見の連続、外国を旅行しているような気がしていた。 このうつくしい国がどのように漂っているのかも見えていた。 今回、彼らには、できるだけ普段着の友人たちや、ナマの姿の日本人にダイレクトで会ってもらえたように思う。 初めて直に接することのできた方々、友人たちにくれぐれもよろしく、と、言い残して帰っていった。
桜の季節とゴールデンウィークの硲だったせいか、どこも空いていた。
瀬戸田や尾道の旅館は素晴らしかったのに、他に客はおらず貸切状態。 大浴場に入り、浴衣に身を包み、庭を眺めて、カンパーイのあと、先付けに箸を運ぶとき。 由緒ある建物の空間、気のきいた女将との会話、こころの贅沢。 瀬戸内海に点在する隠れ家の開放感、旅館自体が宝石のように思えた。 囲まれる風景に、建物の造作に、そして料理に、彼らは『オ・ラ・ラ』と歓声をあげた。 いつのまにか、自分たちの旅を Oh! La! La! Voyage と呼んでいた。 山本リンダのウララ・ウララ・ウラウララはこのフランス語から来たんじゃないか?
もう十数年の付き合いになる。 七年程前にはプロヴァンスの夏の家へ招かれて、一緒にヴァカンスを過ごした。 それがこうして十数日、日本を一緒に回ってきた。 確かにレコードが取り持つ縁だが、彼はディーラーではない。 成田エクスプレス車中で、音楽の話をした。 『先月、シャンゼリゼ劇場でね、ドビュッシィの前奏曲集を聴いたんだよ。 チッコリーニが素晴らしかった(extraordinaire) 』 音楽の話は、この時が最初で最後だった。 見馴れているはずの日本なのに、彼らと一緒だと発見の連続、外国を旅行しているような気がしていた。 このうつくしい国がどのように漂っているのかも見えていた。 今回、彼らには、できるだけ普段着の友人たちや、ナマの姿の日本人にダイレクトで会ってもらえたように思う。 初めて直に接することのできた方々、友人たちにくれぐれもよろしく、と、言い残して帰っていった。
桜の季節とゴールデンウィークの硲だったせいか、どこも空いていた。
瀬戸田や尾道の旅館は素晴らしかったのに、他に客はおらず貸切状態。 大浴場に入り、浴衣に身を包み、庭を眺めて、カンパーイのあと、先付けに箸を運ぶとき。 由緒ある建物の空間、気のきいた女将との会話、こころの贅沢。 瀬戸内海に点在する隠れ家の開放感、旅館自体が宝石のように思えた。 囲まれる風景に、建物の造作に、そして料理に、彼らは『オ・ラ・ラ』と歓声をあげた。 いつのまにか、自分たちの旅を Oh! La! La! Voyage と呼んでいた。 山本リンダのウララ・ウララ・ウラウララはこのフランス語から来たんじゃないか?