TD135 Mk.1+ T 氏製作コンソール
TD135にはスイス製専用キャビネットがほとんど無いので、作るしかありません。 TD124と同じものでは面白くないので工夫を凝らしました。 デザイン的にはTD124オリジナルと同型で、側面は傾斜させないで直角にしました。 TD135のレコードプレイヤーとしての長所であるコンパクトさを重視したためです。 素材は桐の単板仕様、内側には補強用のコーナー材を付けてあります。 通常のレコードプレイヤーケースの場合、着色オイルステインで仕上げるのですが、TD135のシャシーが鉄板プレス製で内部のトランスポートの振動に対する内部損失と可変を考えればキャビネットは軽く、なおかつある程度の共振に対する抵抗体としての働きあった方が良いので合成漆仕上げに、これにより桐特有の程度な内部損失値と制動を良好にすることが出来ました。 このキャビネットに搭載するTD135は、あらゆる点で今までのTD135の常識的な再生を超えるべき、入念にチューニングを施し、この組み合わせの再生音は、劇的な変貌を遂げたと言えるものでした。 何よりクリアーさが音の一つ一つに行きわたり、音が自ら光を放っているような聴感を覚えるほどでした。 TD124のもつ深い音楽性を励起する、ナチュラルディストーションとはまた違った意味を持った再生音であり、良く言えば直線的な音楽再生音、持ってまわったところのない即物的な音とも捉えられる性質のものです。 それらはTD135の持ち味であり、これはこれで良いのでは、再生のクオリティは大変高い所に位置付けるに足りるものですから。 取り立てて高級なカートリッヂを使用しなくても、シュアのM44でこの結果が得られたことにも注目しなくてはなりません。 M44は今日大変安価で入手可能であり、ややバタ臭い音がする等言われたりしますが、今回のヒアリングではそれらは微塵も感じさせない上品な音で再生しています。 TD135はキャビネットにより、その再生音のグレードが上下するタイプのレコードプレイヤーであり、上質なキャビネットと組み合わせて使用すれば、その再生のクオリティはかなり向上することが今回の実験でわかりました。 この実験に使用したモデルはすでに販売済みで、後日ご購入いただいたお客様からのお便りにTD135は今までご自分で使ってこられたプレイヤーより数段勝った再生をするとのこと、またトーレンス社製高級クラスのベルトドライブプレイヤーと比較してもTD135の方が良いとおっしゃっています。 それがシュアのM55で成されたことにも信じられないようで、オーディオの常識について深く考えざるを得なくなったともおっしゃられていました。 これがTD124であればその位の力は充分あるので何も驚くことではありませんが、ベルトドライヴ高級機が、TD135にも及ばないとなると話は別で、販売価格を考えると現在高級なカートリッヂと同等もしくは下回る価格であり、フルセットでも高級カートリッヂ1個分にも及ばないからです。 いくら性能と価格は別だと言っても、これは考えものではありませんか。 このことは、私にトーレンス社のドライブベルトプレイヤーの音質と再生について、日ごろから疑問に思っていたことを再び考えるきっかけを与えてくれたのです。 1970年代にTD126の再生音を聴いたことがあり、当時はTD124やTD135の存在は知らず、聴いた印象は大変きれいな香りのある良い音でした。
今日TD135と比べTD126というドライブベルトプレイヤーの音は決定的にレコード盤の中にある音楽をつかみ取る力が不足しており、音楽サウンドとして美しい再生はしますが、TD124やTD135のアイドラードライブ型の持つレコードから時には音楽を引きはがしてまで私達の眼前に現わすと言うバイオレンス的な強靭な迫力はないのです。 音楽が他人事のような感覚で聴かれ、TD124やTD135のような聴く人が音楽の嵐の中で無我の法悦的な感動を発動させるような力が見えないこと等から考えると、トーレンス社はベルトドライブ型プレイヤーの宿命的欠陥を気付きながらTD124Mk.2発売時、TD150ベルトドライブプレイヤーを同時に発売し、市場の反応を窺ったのではないでしょうか。
そしてTD150が好評だったため、ベルトドライブ型でもオーディオ市場で行けると判断し、当時のトーレンス社の経営事情からTD124に比べはるかに作りやすいTD150やTD126ベルトドライブ型プレイヤーが無くてはならないものとなり、皮肉にも苦肉の策だったベルトドライブプレイヤーはその後もアナログ・オーディオの主役の座にあり続けたのですが、この機構的な宿命である、歯車として回転機構が働かないことにより、必然的に電子制御のお世話になることになります。 この電子制御が曲者で、いかに精度を上げ回転をコントロールしても所詮、事後処理に過ぎずアイドラー型の欠点の一つでもある回転機構伝達のスリップによるトルクミス、ワウフラは押えられても別の問題が出てきます。 ベルトドライブ型のゆるやかなワウフラ(人間の生理的な特性由、アイドラー型のように目立たない)による音の腰が落ちきらない現象が現われてきます。 それを解消するためベルトドライブ型が誕生から今日に至るまでどの様なことを行ってきたかは皆様が一番ご承知だと思います。
以上T氏
今日TD135と比べTD126というドライブベルトプレイヤーの音は決定的にレコード盤の中にある音楽をつかみ取る力が不足しており、音楽サウンドとして美しい再生はしますが、TD124やTD135のアイドラードライブ型の持つレコードから時には音楽を引きはがしてまで私達の眼前に現わすと言うバイオレンス的な強靭な迫力はないのです。 音楽が他人事のような感覚で聴かれ、TD124やTD135のような聴く人が音楽の嵐の中で無我の法悦的な感動を発動させるような力が見えないこと等から考えると、トーレンス社はベルトドライブ型プレイヤーの宿命的欠陥を気付きながらTD124Mk.2発売時、TD150ベルトドライブプレイヤーを同時に発売し、市場の反応を窺ったのではないでしょうか。
そしてTD150が好評だったため、ベルトドライブ型でもオーディオ市場で行けると判断し、当時のトーレンス社の経営事情からTD124に比べはるかに作りやすいTD150やTD126ベルトドライブ型プレイヤーが無くてはならないものとなり、皮肉にも苦肉の策だったベルトドライブプレイヤーはその後もアナログ・オーディオの主役の座にあり続けたのですが、この機構的な宿命である、歯車として回転機構が働かないことにより、必然的に電子制御のお世話になることになります。 この電子制御が曲者で、いかに精度を上げ回転をコントロールしても所詮、事後処理に過ぎずアイドラー型の欠点の一つでもある回転機構伝達のスリップによるトルクミス、ワウフラは押えられても別の問題が出てきます。 ベルトドライブ型のゆるやかなワウフラ(人間の生理的な特性由、アイドラー型のように目立たない)による音の腰が落ちきらない現象が現われてきます。 それを解消するためベルトドライブ型が誕生から今日に至るまでどの様なことを行ってきたかは皆様が一番ご承知だと思います。
以上T氏