英コニサー・クラフツマン3 その4
Craftsman 3 の再生音
アームはコニサー社のSAU4 ワンポイントサポートアーム、カートリッジはシュアーM44、アンプリファイアーはオルトフォン社のプリメインおよびフィリップス社のOTLアンプリファイアーを使用、スピーカーはいつもの大型フロアー型と今日はOTL用800オームユニットを組み込んだ、小型キャビネットで試聴しました。 再生音は、サグデン氏の音楽的な趣向と英国流のブルースが合体融合した、まさに変態性全開の音といえます。 なにしろ音色がエロい!! いつものJohnny Hertmann といえば、TD124では何処か過去に心にキズを背負った、逞しくはあるが影のある繊細な男として表され、又ガラード301の場合は、筋肉質の勢いのあるイケイケ男として表現される。 それがCraftsman 3 となると、ひたすらスケベな男と化し、女を落とす為なら非合法的な手段さえいとわない、冷酷さを秘めた男がヌーッと出てくる。 コルトレーンのサックスがまたスゴイ!! 荒涼たる原野で一人でサックスを吹いている、寂しさに沈みます。 オーケストラは、曲を構成する響きのアウトライン等には目もくれず、ひたすら内声部の音のやりとりと充実に特長が出ています。 従ってフォルテッシモの爆発力はかなりの物で、何しろアウトラインを設定していないので、音が飛んで行ってしまいます。 オフィスの二階まで階段の吹き抜けを伝わって立ち昇っていくのです。 実際、空気を反応させて伝導していく再生音のせいか、たとえ小音量で二階で聴いていても肌が震えるような感じがするのは快感でもあります。

スピーカーキャビネットは25cm×25cm×10cm程の小型で、ユニットは20cmのフルレンジなのにであります。 この様な力は現代ベルトドライブ型プレイヤーには殆どあり得ない現象です。 現代プレイヤーはたとえ高音圧再生しても、曲自体のアウトラインより一歩も外へは出ず、オーケストラは形だけ大きくなるだけにとどまるになるからです。 Craftsman 3 でヴォーカルを再生すると異様とも思える艶やかさを持っており、Bob Dylan の声は、しゃがれた声に一種独特の艶がのってしまい、果たしてこれで良いのかと戸惑うほどです。 女性ボーカルでは抜群な強みを発揮します。 しかし我国の演歌(懐メロ)等は、あまり合うとは言えず、妙にバタ臭くなり、ラテン音楽のリズムに基づいた曲などは、タンゴかと思われ、常にラ・クンパルシータ的なリズムとメロディが発生します。 ブルース性という点からみると、米国ディープ・ブルーズをかけるとちっとも面白くありません。 Craftsman 3 にあっては、あくまで英国風なブルースであり、ブルーズには反応せず、音のエレガントさだけが浮きあがり、妙に落ち着かない再生音となってしまいます。 その再生音が何故この様な特性を示すのかを推測すれば、それはリズム感そのものが、TD124やガラード301と異なるせいであると考えられ、TD124やガラード301がそのリズムにおいて正拍、つまり表のリズム感を良く出すのに対して、Craftsman 3 では、裏打ちのリズム感があるからです。 物事には裏があると言う感覚を、聴く人に抱かせる音であり、それを良しとするのであれば、それは恐ろしく魅力に富んだ音と言えますが、好ましく思わなければ、嫌いとなると言う音でもあります。 さらに特長としては、パイプオルガンは良く鳴るが、ブルックナーは全く駄目で、ブルックナーというより、常に曲の後ろにエルガーやディーリアスがいる様な妙な感覚を覚えてしまいます。 反面マーラーは良く、都市の匂いと洗練された響きが気持よく再生されます。 全体イギリスのオーディオ機器は、ブルックナーが嫌いな所があるので、これもしかたない事ではありますが、ピアノ曲では音の立ち上がりや下がりは、調整により敏感に変化します。 スピンドルシャフトのベアリング調整を、やや解放してやったほうが、響きは豊かにはなります。 クラヴサンは、ややコントロールが効かず、賑やかになりすぎる傾向があります。 TD124とは違い、強力なダンピングファクターがかかっていない為、音を集約する力が少し不足する為に起こる事であります。 あるいはM44の音の粗さをそのまま出してしまった為かもしれません。 ジャズの器楽曲を聴くと、音が横に動く場合、見事な表現力を発揮しますが、奥行きという点ではやや不足し、深みが足らないと感じなくも無いのですが、これはシュアM44との反応力がCraftsman 3 の場合、プログラムソースによって変化してしまうからでしょう。
従ってコニサー社のカートリッジや他の英国製カートリッジを使えば、これらの事は又まったく別の物となる事は充分考えられますが、いかんせん英国製のステレオカートリッジには、今日まで無事に生き残っている物はほとんど無いのが残念。 仮にEMIのpick up システム EPU100 を使うのも一興ですが、EMIの製品はCraftsman 3 より、TYPE-A かTYPE-B に使ったほうが良いかもしれません。 ただ、相当念入りに調整してセッティングしない限り、折角の組み合わせも本領発揮することはありません。 つづく
以上T氏
たまたま、この装置T氏と一緒に聞いていた。 イタリアRCAのローマスタジオで録音されたガーシュウィン。 イタリア女性が弾くピアノのキワドサをたっぷり再生している。 濡れるピアノの筐体、しんなりとした響きにハンマーの衝撃音がピキピキと加わり、きらめく右手までが液体質。 恍惚の再生音と人間の情、そして気配・・・。 分析的ではなく、解説的でもない、くびきから放たれた、生きている音のアソビ。
T氏はそう言うが、僕はひそかにCraftsman3 にEPU100 を取り付けて聴いてみたいとタクランデイル。 それでミルシテイン奏すところのシシリエンヌをかけてみたい。
アームはコニサー社のSAU4 ワンポイントサポートアーム、カートリッジはシュアーM44、アンプリファイアーはオルトフォン社のプリメインおよびフィリップス社のOTLアンプリファイアーを使用、スピーカーはいつもの大型フロアー型と今日はOTL用800オームユニットを組み込んだ、小型キャビネットで試聴しました。 再生音は、サグデン氏の音楽的な趣向と英国流のブルースが合体融合した、まさに変態性全開の音といえます。 なにしろ音色がエロい!! いつものJohnny Hertmann といえば、TD124では何処か過去に心にキズを背負った、逞しくはあるが影のある繊細な男として表され、又ガラード301の場合は、筋肉質の勢いのあるイケイケ男として表現される。 それがCraftsman 3 となると、ひたすらスケベな男と化し、女を落とす為なら非合法的な手段さえいとわない、冷酷さを秘めた男がヌーッと出てくる。 コルトレーンのサックスがまたスゴイ!! 荒涼たる原野で一人でサックスを吹いている、寂しさに沈みます。 オーケストラは、曲を構成する響きのアウトライン等には目もくれず、ひたすら内声部の音のやりとりと充実に特長が出ています。 従ってフォルテッシモの爆発力はかなりの物で、何しろアウトラインを設定していないので、音が飛んで行ってしまいます。 オフィスの二階まで階段の吹き抜けを伝わって立ち昇っていくのです。 実際、空気を反応させて伝導していく再生音のせいか、たとえ小音量で二階で聴いていても肌が震えるような感じがするのは快感でもあります。

スピーカーキャビネットは25cm×25cm×10cm程の小型で、ユニットは20cmのフルレンジなのにであります。 この様な力は現代ベルトドライブ型プレイヤーには殆どあり得ない現象です。 現代プレイヤーはたとえ高音圧再生しても、曲自体のアウトラインより一歩も外へは出ず、オーケストラは形だけ大きくなるだけにとどまるになるからです。 Craftsman 3 でヴォーカルを再生すると異様とも思える艶やかさを持っており、Bob Dylan の声は、しゃがれた声に一種独特の艶がのってしまい、果たしてこれで良いのかと戸惑うほどです。 女性ボーカルでは抜群な強みを発揮します。 しかし我国の演歌(懐メロ)等は、あまり合うとは言えず、妙にバタ臭くなり、ラテン音楽のリズムに基づいた曲などは、タンゴかと思われ、常にラ・クンパルシータ的なリズムとメロディが発生します。 ブルース性という点からみると、米国ディープ・ブルーズをかけるとちっとも面白くありません。 Craftsman 3 にあっては、あくまで英国風なブルースであり、ブルーズには反応せず、音のエレガントさだけが浮きあがり、妙に落ち着かない再生音となってしまいます。 その再生音が何故この様な特性を示すのかを推測すれば、それはリズム感そのものが、TD124やガラード301と異なるせいであると考えられ、TD124やガラード301がそのリズムにおいて正拍、つまり表のリズム感を良く出すのに対して、Craftsman 3 では、裏打ちのリズム感があるからです。 物事には裏があると言う感覚を、聴く人に抱かせる音であり、それを良しとするのであれば、それは恐ろしく魅力に富んだ音と言えますが、好ましく思わなければ、嫌いとなると言う音でもあります。 さらに特長としては、パイプオルガンは良く鳴るが、ブルックナーは全く駄目で、ブルックナーというより、常に曲の後ろにエルガーやディーリアスがいる様な妙な感覚を覚えてしまいます。 反面マーラーは良く、都市の匂いと洗練された響きが気持よく再生されます。 全体イギリスのオーディオ機器は、ブルックナーが嫌いな所があるので、これもしかたない事ではありますが、ピアノ曲では音の立ち上がりや下がりは、調整により敏感に変化します。 スピンドルシャフトのベアリング調整を、やや解放してやったほうが、響きは豊かにはなります。 クラヴサンは、ややコントロールが効かず、賑やかになりすぎる傾向があります。 TD124とは違い、強力なダンピングファクターがかかっていない為、音を集約する力が少し不足する為に起こる事であります。 あるいはM44の音の粗さをそのまま出してしまった為かもしれません。 ジャズの器楽曲を聴くと、音が横に動く場合、見事な表現力を発揮しますが、奥行きという点ではやや不足し、深みが足らないと感じなくも無いのですが、これはシュアM44との反応力がCraftsman 3 の場合、プログラムソースによって変化してしまうからでしょう。

以上T氏
たまたま、この装置T氏と一緒に聞いていた。 イタリアRCAのローマスタジオで録音されたガーシュウィン。 イタリア女性が弾くピアノのキワドサをたっぷり再生している。 濡れるピアノの筐体、しんなりとした響きにハンマーの衝撃音がピキピキと加わり、きらめく右手までが液体質。 恍惚の再生音と人間の情、そして気配・・・。 分析的ではなく、解説的でもない、くびきから放たれた、生きている音のアソビ。
T氏はそう言うが、僕はひそかにCraftsman3 にEPU100 を取り付けて聴いてみたいとタクランデイル。 それでミルシテイン奏すところのシシリエンヌをかけてみたい。