2010年12月31日

オーディオ統一理論 5

三つの力と働きとその形態 中
さてヴィンテージオーディオ機器の世界で、賢明なる御者に操られた三頭の馬が、実際にどの様に働いているのかを書いていくのですが。 それでは、これらの機器の動作のメカニズムはどうなっているのでしょう。 それは、これまでのオーディオ常識では想像もつかない突拍子もないことかもしれません。 なぜなら、それは相互核反応と同じだと、わたしは確信しているからです。 個々の機器は小さな原子核反応炉のようなものであり、それが相互に結びつくと、大きな反応体として動作していると想像してみてください。 私自身の体験からいって、反応炉どうしが反応し合わなければ、いかに大型フロアスピーカーでも、ラジカセ並みの音しか出ません。 デッカアーク型スピーカーを例に挙げてみましょう。 キャビネットに組み込まれているグッドマン社製20cmフルレンジユニットのマグネットは、500円硬貨より少し大きい位で一見非力なスピーカー。 それに極めて小さな出力(1Wそこそこ)のパイ社製ブラックボックスアンプリファイアーを接続すると、50畳あまりのオフィスいっぱいに良質な再生音で満たされるます。 それを一度聴いていただければ、たちどころに反応力というものを理解していただけます。 現代の数百ワット出力アンプリファイアーを使用して低能率スピーカーを駆動するのとは、まったく異なったスタイルで動作しているとしか考えられません。 ここに電気信号再生の本質的な問題の根源があります。 ヴィンテージオーディオの時代、電気信号の伝達に使われる電流の量は、質的なものを伝える為だけ有れば十分でした。 電気信号という船を浮かべ進めるだけの水量があれば、それ以上必要はなく、それ以上あると、かえって反応力を損なってしまうのでした。 それゆえにむやみな大出力アンプは製造されませんでしたし、必要もなく、当時のスピーカーに接続しても良い成果は決して得られません。 しかし銚子にお越しいただけなかった方に、こうした事実に納得していただくことは無理なことです。 Dez_10
そこで例をあげてみましょう。 今日のヴィンテージオーディオファンであればどなたでも御存じである、WEのトーキー用スピーカーで説明してみます。 WEシアターサプライスピーカーは、基本的に低域、高域にホーンロードをかけています。 そのため巨大なものになり、初期の555レシーバーをフルレンジに使ったシステムでも長大なホーンロードと開口部が必要です。 のちのTA4181Aと594A型ユニットを搭載したミラフォニックシステムは、さらに巨大な仕掛けのものになります。 スピーカーは大きいのに、アンプリファイアーの出力はとりわけ大きなものではなく、555レシーバー専用アンプリファイアーであった41、42、43アンプリファイアーでも、今日のトランシスターアンプ出力から考えれば、特別大きな出力ではありません。 そうした比較的小出力で劇場での使用に耐え、なおかつ効果的な広告が可能です。 WEのトーキーシステムの中で働いている、電気信号自体の性質が、現代のオーディオとは全く別の力を保持しているのです。 それこそが核反応的な連鎖であり圧縮、拡張と言うやり取りの後に、再生結果として提示されるのです。 ただアンプリファイアーが連結して圧縮、拡張を行っていっても、そのままでは核反応を発生させることは出来ません。 問題は電気信号の圧縮と拡張が、何のために行われているかです。 今日のオーディオでは、この圧縮と拡張は利得を得る為であるとか、アンプリファイアーの出力の増大として解釈されていますが、この時代のシアターシステムはそうではありません。 それは電気信号の加工に使われたのです。 加工され、可変された電気信号は、アンプリファイアーの出力という船に乗って、スピーカーに送り届けられ確実に爆発します。 しかしこれだけでは核反応爆発力を長続きさせることは難しい。 確実に誘爆させ、それを連続的爆発に導くには、スピーカーを臨界に保ち、いったん電気信号が入ったらそのまま臨界点に達する様にしなければなりません。 そこでコンシューマーユースホームオーディオとは、全く別の仕掛けを持った機材が必要になってきます。 WEのアンプリファイアーがその大きさの割に出力が小さいのは、ここに仕掛けが施されているからです。 出力より反応力の方に重きを置いたアンプリファイアーだったのです。 アンプリファイアーに限らず、光学式サウンドトラックフィルムの入力から、終段のスピーカーシステムに到るまで、あらゆる個所に反応する仕掛けが仕込んであります。 つまりWEのトーキーシステム全体が反応体の固まりであり、そのシステムブロックの一個一個が原子核反応炉みたいなものです。 こうした仕掛けがあるからこそ、小さな出力であっても大規模な拡声が可能です。 逆にいえばWEのスピーカーシステムの優秀さの証しでもあります。 およそWEのトーキーシステム全体を見渡し、その反応力の値を考えた場合、もっとも強力な力を示すのはスピーカーです。 WEに関わらずRCAやヴァイタヴォックス、BTH、アルティック等のシアターシステムのスピーカー能率は大変高く、標準的には1W入力あたり105〜110 dbほどになります。 これはコンシューマーユースのものと比べればかなりの高能率であり、音圧も出るのですが、それはあくまで1W入力時の話です。 劇場で使用する際は、もちろん1Wで済むはずがありません。 当然もっと多くの入力信号を送ることになりますが、さて、ここで能率と音圧の秘密をお話ししなければなりません。 この項つづく
以上T氏


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