2011年01月31日

リストを終えて 2 木陰の大蛇

第九。 年末になると、この国では数限りなく、恥ずかしくも無くアジテートされ、数多くの録音が全世界に残されている。 
この第九には『アッ』と言わされた。 根太い。 ストコフスキーの山っ気ではなく、それが体質としてグリグリと進んでいくから、並外れている。 フレーズのひとつひとつが聴いた事のない節回し、第1楽章から大見得全開、だから、この太さがベートーヴェンに合う。 アダージオ楽章では荒城の月夜に通じる慟哭があったりもする。

MMS2034F ベートーヴェン 交響曲9番 1番* イエナ交響曲 
W.ゲール オランダフィル ベイスター/プリチェット/ガレン/ヴォロフスキ フランクフルト国立歌劇場管*  録音1950年代後半  紺に銀のコンサートホール(MMS)レーベル(オリジナル) フラット重量盤  DSC_0035頭を下げてお辞儀してしまった1枚。 野の大蛇。 曲の核心をグイと掴んで、ドラマティックに放り出す。 生身の、切れば血がほとばしる、そう、これは19世紀のロックです。 一旦始まれば、バサラの華を散らすのです。 第九の『らしさ』をちゃんと聞かせてくれる、熱さがどんどん白く輝いていく、この指揮者はたいしたものです。 イエナ交響曲は、ホンモノの演奏だと確信します。 キビキビとして、オランダフィルのソノリティの高さを見事に捉えたカッティングプレス、ホールトーンの良さまでが快感です。 最初から最後まで迫真の音楽。 誰も見向きもしないこの第九、そっと箪笥にしまっておきたくなります。  盤美品  見開きジャケットほとんど美品  二枚組  DP COLカーヴで再生  ¥9000

2枚組に合唱、1番、イエナ交響曲が詰め込まれているが、音質はほぐれていて、嘘みたいに音楽が体に浸透していく。 
そういう僕も恥ずかしげも無く、年末に合唱を歌ったことがある。



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