2011年02月26日

して見てよきにつくべし

T氏がスピーカーユニットの試験用バッフルをちょちょいと作って運び込んできた。 フィリップスOTLシステム用のスピーカーを鳴らすにはフロントロードホーンがどの角度が適切か、やってみなければわからない。 そこで、こうしたものをこさえてきた。PC141072 よくみると上と下の開口部の大きさが違うのがわかる。 この三つのフロントロード開口部に、同じスピーカーを取り付けてみて、それぞれの鳴りかたを聴いて、どれが一番よいか判断する。 

PC141077







インピーダンス800Ohmの蘭PHILIPS社製ユニットは、同じく蘭PHILIPS社製HF308Mono-Endアンプに結線して試聴。 OTLだけあって、TONE CONTROLに敏感に反応するし、音の生きがすこぶる良い。 50年以上も前に商品化されていたOTLシステムから再生される音楽は一聴して、たまらない、という気持ちに突き落とされる。 まず一番小さな開口部に取り付けてみる。 音に香辛料が利いて、隈取りが濃いが、音楽が濃い感じで聞こえて、エグミもある。 PC020091次に一番大きな開口部を持つフロントロードに取り付けて聴く。 あっけらかんとして、音に溜めがなく、しまりがない。 ということはフロントロードのないただの平面バッフルにこのユニットを取り付けたらもっと、あっけらかんになるということだろうか。 それでPHILIPSのユニットは高音がキツイとかいう人が出てくるのか。 もちろん、アンプのドライヴ力というかアンプとの反応力もあるのだろうけれど。 そこで真ん中のサイズの開口部をもつ3つ目のフロントロードを試す。 音が出た途端、T氏がこれだね、と頷く。 エグミがなく、自然で、音楽がきれいに震えて、音のエネルギーがみずみずしく放たれる、そしてなんといっても音にあるうれしさ、悲しさ、しあわせがらくらくと再生されている。 さすがT氏だ。 一番良い結果が真ん中のサイズなんだから。

PC141076


今朝の日経に書いてあった。 
『世阿弥の芸談を集めた「申楽談儀」には
「して見てよきにつくべし、せずは善悪定めがたし」』
取りあえず試してみてよい方を選ぶ。 
これだ、と思った製品を、僕はいくつオシャカにしたことだろう。 それもこれも、壊れてもいいから知りたいという好奇心が勝つからだろうけれど。

 

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