
『グトニコフ シュピールト』 ワグナー アルバムの一葉/チャイコフスキー 瞑想曲/クライスラー ジプシー娘/プロコフィエフ アンティル諸島の少女たちの踊り/ザルジスキ マスレク/スコット 蓮の国で B.グトニコフ(Vn) リディア・ペチェルスカヤ(Pf) 録音1958年 外周金に紺のSUPRAPHONレーベル(チェコオリジナル) LPV番号は発売されずこれがチェコオリジナル。 ソビエト盤(D4606/7)もありますが、この10インチ盤、音質が断然良いので載せてみました。 最初の清楚な曲がワグナーだなんて、誰もわからないでしょう。 ガラス細工に似て光線によって意外な表情を焼き付ける小品ばかり選ばれています。 光をあてるのはグトニコフ。 どれも妖しげなテイストがあって、否応なしにアールヌヴォーのゆがんだ滲みに溶け込んで、埋没していく。 シリル・スコットが描いた耽美、蓮の国という小宇宙。 アルバムを閉じるに相応しい余韻。 指折りの小品集にちがいなく。 盤ほとんど美品〜きわめて良好 ジャケットきわめて良好 10インチ チェコプレス NABカーヴで再生
次のグレイ・リストNo.72に載せるレコード、何度も聴いてしまった。 グトニコフという男、今のヴァイオリニストには無い、ふてぶてしさを持っているから、聴き込んでしまう。 きれいごとの演奏家ばかりがもてはやされて、こういう匂いを持つ男が、やおら弓をかき立てる舞台はほとんどと言ってよいほど、今はない。 アシュケナージと違い、音楽を社会的ステップを昇る手段とは考えていない男だ。