開聞岳から

羽田へ帰る飛行機が台風で欠航。
おかげでもう一日鹿児島にいられることになった。
それじゃあと、南に向かう、海まで向かう。
『密航者を見つけたら通報を』
立て札の先に海が見えた。
海の向こう、見事に三角錐した火山が見えた。

砂蒸し温泉に引き寄せられた。

道の突き当たりで白い煙が見えている。
サックサックと砂をかけられると、
全身の血管がドックンドックン。
砂から抜け出ると、体が軽くなっていた、ような気がした。
何処へ行っても、あたりまえに温泉が噴き出ている。
『ソノサキ、ヒダリホウコウデス』とスピーカーの声を無視して、
右に曲がってみる。　
どんどんひとりよがりな景色が見えてくる。

南の国、
また、来てしまうかもしれない。
羽田から飛行時間１時間２０分。
銚子から羽田までのほうが、もっとかかる。