2012年01月29日

フツーの33CX

33CX1235 モーツァルト ピアノ協奏曲20番K.466 25番K.593  W.ギーゼキング(Pf) H.ロスバウト PO  録音1953年 EMI第1スタジオ  初期プレス  P;W.レッグ W.イェリネク E;C.パーカー  何も変わったことをしていないのに、透明な輝きが続く。 やがて奥のほうからミューズがとろけ出して来るのです。 変わったことしているわけでもないのに。 音そのものに聞き惚れてしまうのです。 K.593はロスバウトの棒もさえています。 これがあるからモノーラルは止められません。  盤美品〜ほとんど美品  ジャケット(裏ラミネイト)きわめて良好  EP  BRIT-LPカーヴで再生

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33CX1595コダーイ 無伴奏チェロソナタ/ドホナーニ 協奏的作品  J.シュタルケル(Vc) W.ジュスキント* PO*  録音1957年/1956年 EMI第3スタジオ/キングスウェイホール  最初期プレス 1A/1Aスタンパー  P;W.イェリネク E;A.クラーク  1952年録音のNIXA盤(米ピリオド制作)が廃盤となり、英コロムビアが録音し直した傑作盤。 聴いていただかないことには、話が進みません。 英コロムビアがこの録音のあとに入れたバッハの無伴奏を知っておられる方には、この録音のすごさは、だいたい想像していただけるはず。 NIXA盤あるいは仏PACIFIC盤と較べてみてください。 どちらも50年代の録音でありながら、音も演奏も違う、そしてどちらも良い! 当時の技術者がどうやってLPモノーラルとしては前世代のNIXA盤に匹敵する(あるいは超える)音質を探り求めたのか、伝わるものがあります。 レコード蒐集も円熟期から衰退期に移ったいま、勢いのピリオド盤は驚かせるに充分すぎる鬼気音質でしたが、アーサー・クラークがエンジニアリングしたこの録音、好ましいチェロの湿り気と空気感があり、楽器の音の素性のありようも音楽よりですし、音質もこちらのほうを僕は好みます。 ピーター・バルトークに対するアンチ・テーゼとして説得力があるのです。 耳骨の裏側をくすぐられる、あの感覚。  盤ほとんど美品  写真ジャケット(裏ラミネイト)良好  EP  BRIT-LPカーヴで再生

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33CX1653ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番「皇帝」  C.アラウ(Pf) A.ガリエラ PO  録音1958年 EMI第1スタジオ  最初期プレス 1R/1Lスタンパー  ステレオ番号はSAX2297  モノーラル再生・・・一台のスピーカーシステムで、部屋の空気を自然に震わせる。 どういうわけか中央にピアノ、左にVn右に低弦が拡がる。 ステレオでは位相がもつれてこうした自然な拡がりとはまた違うし、何よりこれは植物繊維状の音の鳴りようで、もう、美味しいことこの上ない。 充実したピアノの中低域の液状化、オーケストラの宝石の輝き。 音がしっかりとしていてくどくないのです。 英コロムビアは良心で録音を一枚の音盤に仕上げている。 それが実感できる。 モノーラルをおろそかにしない、素晴らしいレコード会社です。  盤美品〜ほとんど美品  ジャケットほとんど美品  EP

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英コロムビアのモノーラルレコードが、どんなに優れた音楽をそれにふさわしい優れた音質で製盤していたか、リストを書いているうちに実感した次第。 実感するには、如何に装置がレコードに反応しているか、が肝要だ。 ステレオ再生では薄まる音楽の核心と音色。 英コロムビアが最後までモノーラルにこだわっていたのがわかる。 言葉では言い表せないこと、つまり聴いた途端、ああ、音楽、と感じられるかどうかは、装置の反応力にかかっている。 たしかに33CXやALPのオリジナル盤ならば、たいがいの装置でも、そこそこは盤に刻まれたアドヴァンテージを感じられることは可能。 その旨味を存分に再生するにふさわしい装置がナンであるか?、オリジナル盤を解読できるだけのプレイヤーを所持しているか?、初期盤特有の音で部屋の空気を震わせているのか?、 円熟期を過ぎた今、レコード愛好家が直面する大きな問題になるに違いない。 『いいでしょう?』と得意げに聞かされたドイツのスピーカーから張り出すヴァイオリンが鉄のように鳴っていたり、タンノイのオートグラフが拡声器のように吼えていたり、ウェスタンが耳が切れそうなくらいにキツかったり、そーゆー装置でフツーの33CXを聴くのは、もうそろそろよさないと。 トーンコントロールさえないアンプで聴くのも、そろそろお終いにして欲しい。 33CXを聴いているとそう思う。

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1995年夏、EMI HEYESのプレス工場と、Abbey Road スタジオに英手スタメント社長スチュアート・ブラウンと訪れた際に撮影したもの。 数年後プレス工場は閉鎖された。(現在は他の会社により再開されたと聞く)  あの時、現場で活き活きと語ってくれた彼らの情報が、今になって随分と『そうだったよなあ』と思い出される。 其のときのことは、また書こう。



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