2013年01月30日

TD124の姉妹機たち 2

TD135 TD134・184の立ち位置
TD134とTD184はトーレンス社の製品について書かれた記述にはTD124の普及品と示されていますが、それは誤りです。 トーレンス社のレコードプレイヤーとフォノモーターに対する思想には普及品という考え方はまずありません。 しかし、コストダウン機というものはあります。 TD121、111、101等といったシングルスピードしかないモデルです。

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しかしTD135や134・184は普及機でもコストダウンモデル等でもないのです。 TD124ほどオーディオに情熱を注ぐより、音楽を楽しく聴きたいと言う人のために作られたもので、これでなければ出ない音というものがある。 TD124は万能というわけではない、時には力があり過ぎてアンプリファイアーやスピーカーを牛耳ってしまうこともあります。 それゆえ、適度に力を抜いた信号が必要になるオーディオ機器にはTD134・184やTD135は適応するのです。 だが、力を抜いた信号は情報力が少ないとか再生音の品位が落ちるとかいう類のものではないのです。 アンプリファイアーやスピーカーをガチガチに締めつけず、緩やかにコントロールすると言うことです。 コントロールのあり方はTD135、134、184どれも異なっており、それを知るとこれらのモデルの立ち位置がわかってくるのです。 まず、135はTD124と同じくまったく新しいモデルであると考えたほうが良いのです。 そのサウンドはTD124とほとんど似ていない独自のモデルです。 134はTD124ほどの重低音を求めない音楽好きの人のためのもの、184はTD124直系のサウンドを持つが、124より小味で中型のスピーカーを駆動するためのもので、メカニズムの面白さと音楽性を兼ね備えたHi-Fiマニアでありながら音楽を楽しむ人向けに作られたモデルだと思います。

TD135、134、184の問題点
TD135およびTD134・184はTD124の様なマニュアルプレイ専用ではなくセミオートマチックに分類されるレコードプレイヤーであり、メカニズム自体の動き方や構造が違っています。 たとえばセミオートマチック機種は年月を経ると、速度選択レバーが固まって動かなくなってしまうことが多い。 ここはアイドラーの上下動用板金具と速度微調整ツマミ用丸捧が連結されており、一度分解してしまうと組み立てるのが大変な箇所です。 またトーンアームのベアリングがほとんど円滑な動作を求めるのが無理なくらい例外なく腐食している。 たとえトーンアームが動いていたとしても、その能力はほとんど失われていると思った方が良いでしょう。 これらの品を今日完全に動作させようとすればTD124よりずっとレストアに時間と技術と知識を要します。 従って誰もTD135やTD134・184等のフルレストアはやらないでしょう。 

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モーターもTD134・184の場合、TD124と同じ初期型のものが組み込まれていればレストアには相応の時間を要します。 モーターのレストアだけでガラード301全体のレストアが出来てしまうくらいにやっかいです。 それからこれらセミオートマチックプレイヤーにはキャビネットの問題がある。 TD124のようにスイスオリジナル仕様のものがほとんどなく、あっても合板の作りの良くないものがほとんどです。 TD135も134も184もコンソールボックスに組み込まれるのも多く、トーレンス社製のコイルバネ等も販売されていました。 ガラードのオートチェンジャーと同じくバネでシャシーを浮かせて使用します。 我国ではコンソールに入れて使うことはほとんどなく、それゆえ専用キャビネットが欲しいところです。 そこでわたしはTD135、134、184用キャビネットを製作して販売していましたが、残念ながら今後は作る予定はありません。 コストと時間がかかり過ぎるからです。 完成までに1カ月がかる、こんなことをしていては他のことが出来ない。 さらに販売価格の問題もあります。 今後はTD135、TD134・184を欲しい方はキャビネットをご自分で調達して頂くか、それにふさわしい製作代金をいただくことになるでしょう。 
この項おわり  以上T氏


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