TD124 Mk.1 とMk.2 の音楽表現力の相違
グレイがTD124フルレストアを開始したころ、Mk.1とMk.2 の音の差について問われることがしばしばありました。 Mk.1はモノーラルからステレオ全般、Mk.2はステレオ対応という風にお答えはしてきたのですが、このくらいしか言えず、どちらもほとんど機構としては同じといってもよいものなのに、なぜ再生音にこのような差が出るのか、あの時点で明確な答えは出せませんでした。 なのでその頃は通り一遍の説明でお茶を濁していました。
今なら、よくわかります。 何百台という数のTD124のフルレストアをこなしたおかげで、どこをどうすれば音が変わるのか、理解し得たからです。 これはおそらく言ってもわからないと思います。 感覚の領域に属するものだからです。
それでもTD124をこれから使用してみようと思われている方は、Mk.1とMk.2の音の差を知りたいはずです。 そこでMk.1とMk.2の音の差を現象として捉え、様相として認識するのを前提として書いてみます。
まず、Mk.1はF1マシン、Mk.2を飛行機とみなしてください。 いずれも高速で動き空気抵抗をうまく利用していますが、揚力の用い方がまったく異なります。 F1マシンは高速走行時に生まれる揚力を逆向きに使います。 高速で走れば走るほどダウンフォースがかかり、重心が圧力により下がってくる。 一方飛行機は揚力をそのまま上昇に使うのです。 揚力を音楽再生における表現力とそっくり入れ替えれば解りやすいでしょう。
すなわち、Mk.1は再生時に音楽の深みに至ると、重心がぐっと下がります。 おおきなブレスで深く呼吸し、スケールが大きい堂々たる音楽が鳴りわたるのです。 Mk.2は飛翔する音といってもよいほどに、音が軽やかに重量を伴わずスムーズに行われるテイクオフの感覚に満ちています。
このような差異が聴き手に明瞭に認識されるには、いくつかの条件があるのも確かなことです。 フルレストアを実施し、なおかつ高度な仕上がりで完成された個体同志で聞き比べなければなりません。 そのうえ、Mk.1とMk.2のすべての個体がこうした差異を表出するものでもないのです。 経験から言ってMk.1では初期型エンポリウムモデルあるいは初期プラスティック軸受を組み込まれたモデルがもっとも発生率が高いようです。 Mk.2では何といっても9万番台モデルが秀逸ですが、Mk.2には結構バラつきがあり6万番台7万番台にも素晴らしいものがそこそこあります。 繰り返しますが、これらのモデルを入手したからと言って安心してはいけません。 高度なフルレストアとチューニングが施されなければ、なにものも起こりません。 音楽再生の高みに上るには、それなりの準備がいるのです。
TD124が絶妙なバランスで成り立っていることを、まず理解していなければなりません。 レストア完了後のモーターハウジング四隅の固定ボルトの締め具合で、コロリと再生音が変化してしまったり、他の箇所の調整でもほんの少しのところで音の伸びと音楽的な再生音のキャラクタが変わってしまったりもするのです。 Mk.1とMk2の違いを知りたければ、私たちのオフィスにいらして視聴いただくのが一番です。 百見は一聴にしかず、です。 そうして試聴したのちに、そのモデルが全てのTD124のどのくらいの水準にあるか問うてみることも必要なことです。 その結果でどちらにするか、判断すれば良いのです。 以上T氏
今なら、よくわかります。 何百台という数のTD124のフルレストアをこなしたおかげで、どこをどうすれば音が変わるのか、理解し得たからです。 これはおそらく言ってもわからないと思います。 感覚の領域に属するものだからです。
それでもTD124をこれから使用してみようと思われている方は、Mk.1とMk.2の音の差を知りたいはずです。 そこでMk.1とMk.2の音の差を現象として捉え、様相として認識するのを前提として書いてみます。
まず、Mk.1はF1マシン、Mk.2を飛行機とみなしてください。 いずれも高速で動き空気抵抗をうまく利用していますが、揚力の用い方がまったく異なります。 F1マシンは高速走行時に生まれる揚力を逆向きに使います。 高速で走れば走るほどダウンフォースがかかり、重心が圧力により下がってくる。 一方飛行機は揚力をそのまま上昇に使うのです。 揚力を音楽再生における表現力とそっくり入れ替えれば解りやすいでしょう。
すなわち、Mk.1は再生時に音楽の深みに至ると、重心がぐっと下がります。 おおきなブレスで深く呼吸し、スケールが大きい堂々たる音楽が鳴りわたるのです。 Mk.2は飛翔する音といってもよいほどに、音が軽やかに重量を伴わずスムーズに行われるテイクオフの感覚に満ちています。
このような差異が聴き手に明瞭に認識されるには、いくつかの条件があるのも確かなことです。 フルレストアを実施し、なおかつ高度な仕上がりで完成された個体同志で聞き比べなければなりません。 そのうえ、Mk.1とMk.2のすべての個体がこうした差異を表出するものでもないのです。 経験から言ってMk.1では初期型エンポリウムモデルあるいは初期プラスティック軸受を組み込まれたモデルがもっとも発生率が高いようです。 Mk.2では何といっても9万番台モデルが秀逸ですが、Mk.2には結構バラつきがあり6万番台7万番台にも素晴らしいものがそこそこあります。 繰り返しますが、これらのモデルを入手したからと言って安心してはいけません。 高度なフルレストアとチューニングが施されなければ、なにものも起こりません。 音楽再生の高みに上るには、それなりの準備がいるのです。
TD124が絶妙なバランスで成り立っていることを、まず理解していなければなりません。 レストア完了後のモーターハウジング四隅の固定ボルトの締め具合で、コロリと再生音が変化してしまったり、他の箇所の調整でもほんの少しのところで音の伸びと音楽的な再生音のキャラクタが変わってしまったりもするのです。 Mk.1とMk2の違いを知りたければ、私たちのオフィスにいらして視聴いただくのが一番です。 百見は一聴にしかず、です。 そうして試聴したのちに、そのモデルが全てのTD124のどのくらいの水準にあるか問うてみることも必要なことです。 その結果でどちらにするか、判断すれば良いのです。 以上T氏