2013年06月30日

TD124とSME3009 S2の整合 3

SME社製その他のアーム
当店にはレストアを依頼する方から、所有するアームを取り付けて欲しいと頼まれることがあり、それらの品をセッティングして試聴するといろんなことが判ってきます。 その中からSME社のアームについての感想を述べてみます。 SME originalまずSME3009 S1(回転軸部が丸型のもの)は実の所あまり良い音がしない。 だが我国のヴィンテージマニアには受けが良い。 これは何でも初期型の方が良く作られていると信じているためであり、半分正しいし、半分誤ってもいる。 SME3009に限ってはこの初期S1モデルはS2の様な追従性が極めて乏しい。 シュアM44では音が曇ってしまう。 なぜそうなってしまうのか、恐らくSPU-Gを使うため作られた品であるからでしょう。 つまりS1モデルは特有の固定された音色を持つカートリッジを使うと効果を発揮すると推測します。 SMEが独自に考案した特殊鋼性ナイフエッジベアリングのSME3009は60年代初めにS1からS2に受け継がれ1972年まで生産されたのち、ナイロン製ナイフエッジを装着したS2 Improved にバトンタッチします。 improve 2S2 Improved型になると、それまでS2に受け継がれていた追従性は影も形もなくなってしまうのです。 S2 Improved型アームはアイドラードライブ型フォノモータには適さず、ベルトドライブ、ダイレクトドライブフォノモータを前提として改良(?)された商品であり、TD124には適合しません。 従ってS2 ImprovedトーンアームにはカートリッジはシュアM44ではなく、V15-Type靴推奨されます。 滑らかで歪み感のない、音楽では無く音あるいはサウンドを楽しむためのアームとなったのです。 このアームとV15-Type靴TD124に取り付けても、音楽的な再生音は得られない。 その後1980年代にRモデルが誕生します。 これはTD124とはもっと適合しません。 何より音楽信号とノイズ成分から音楽成分をピックアップするはたらきがまったく出来ない。 音楽信号とノイズを同じレベルで拾ってしまいすべって一緒くたに送り出してしまう、これを『何も足さない、何も引かない』 忠実度という言葉に置き換えてしまう。 これではトーンアームの意味がない。 さらに困った商品は日本向けに作られた音のことは考えず見た目と操作性を優先させた3010Rであり、まるでSME社に日本人はこんな音でいいのだろう、と言われているようです。 3012 R3010RをトーレンスTD124に取り付けて聴いた時には開いた口がふさがらなかった。 慎重にレストアして仕上げたTD124をチープなベルトドライブみたいな音に変えてしまったのですから。 しかしこれはあくまでTD124に限ったことであり、他のベルトドライブプレイヤやガラード401では、当たり障りのないそこそこの音が出るのでしょう。 それでもS2 Improved以降のSME社のサウンドポリシーを責めることは出来ません。 それは1970〜80年という時代はレコードの歴史上、盤質も音も最低の時代であり、肝心のレコードがこのテイタラクではさすがのSME社でもそうしたテイタラクの盤からできるだけの情報を取り出すしかありませんでした。 これは我国のアーム、カートリッジに関しても言えることなのです。 これらの商品をTD124に取り付けても面白くもなんともありません。 経験からいわせていただくと、音楽のニュアンスもデリカシーも力強さも出てこない。 なだらかな破綻をきたさないスムーズな音の羅列が続いていくだけです。 series 4 5聴き手は音楽を得られず、サウンドの流れをただただ眺めるだけになる。 死と言う感覚をまったく得られない、音の死こそ音楽の本質を読み取る大切なキーワードであり、これがないと音楽は生き続ける事が出来ない。 ここには生も死も存在しない、あるのは無そのものです。 S3 2ここに到ってアナログレコードは完全に死んでしまった。 デジタルにその座を譲り渡したのです。 しかし、デジタル時代にあってSME社はアナログレコードをどの様に考えたのか推測すると、恐らくレコードをデジタルの音に近づけようと画策したのではないでしょうか。 すなわち、音のクリア化を目指して行った。 クリア化することは何のことはない、レコードから信号を極力少なくすることになり、音の数が少なければ、音は濁らないし歪まない、SN比も上がる(嘘のSN比)。 これをやってしまうと聴覚的、物理的なSN比は向上するが、音楽のSN比がスポイルされ、音が伸びないから聴き手は飽きるのです。 それで装置をとっかえひっかえしてグルグルまわってあてのない装置漁りに終始することになるのです。 レコード信号に含まれるノイズ成分は一見不要に思われますが、実はハーモニクスの創出に深くかかわっていて、主音にくっ付いたり離れたりして音を膨らませる働きをしています。 いわば中性子のようなもの。 その働きが阻害されると、不思議な圧迫感が生じてくるように感じませんか。 
この現象、虚無の逆襲なのです。 つづく
以上T氏

SV


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