THORENS TD184のさらなる可能性
以前も紹介しましたが、今回さらにTD184をフルレストアして精度を高めてみると、尋常ならざる音が出ました。 と同時に色々と興味深い事実が見えてきたので書いてみます。。
*其の壱
TD184プラスティックスピンドル仕様モデルは、もう一つのEMPORIUM
今回発見したレストア法によってTD184(最初期プラスティック軸受モデル)はこの手のレコードプレイヤでは不可能と思われていた大型フロアーシステムでも鳴らすことが出来ます。 ことに低音の伸びがTD124と違い、軽くそれでいて量的に多い。 そのために深々とした低音が出る。
最高音域の伸びは、TD124の方が良いのでTD184は少し音の厚みという面では不足します。 ただこれはシュアーM44-7、それも現行品で試聴した結果であり、それを踏まえるとこのプレイヤが尋常なものでないことが充分理解できます。 こうした現象は、以前のレストアでは起き得ませんでした。 今回施した新しいレストア法により発生したことです。 これで立派にもう一つのEMPORIUMだと言える性能を備えたのです。
*其の弐
TD184シャシは鳴きが少ない
TD184は同系TD134、135と比較した場合シャシがほとんど鳴かず、手でたたいても本来カンと鳴るべき鉄板シャシがコンとしか響かない。 それはTD134、135にはない構造があり、それらに要するパーツがシャシに取り付けられて振動吸収力が増えたからでしょう。
それはレコードサイズに合わせて針先をリードインさせるダイヤル式アームセット機構とレコード再生終了時にアームを盤面からリフトアップさせる機構です。 この2つの機構に要する部品が増えることにより、シャシの鳴りは随分と少なくなります。 TD184にはTD124同様にプラスティック軸受と初期型モータを取り付けた初期モデル(ここではEMPORIUMと呼ぶ)と後期モデル(TD135と同一型メタル軸受 Mk.1中後期型モータ)の二種が存在します。 この差がそのままTD184 EMPORIUMと通常のTD184の音質の違いです。
*其の参
TD184 EMPORIUMの回転機構の精度を上げてみると
TD184 EMPORIUMでは回転系の精度はTD124とはまた別の意味で重要です。 TD184は直径25cm、重量1kgという軽く小さな鉄板プレスのプラッタであり、シャシもまた鉄板プレス製です。 TD124は直径30cm重量5.5kgの鋳物鉄製、シャシはアルミ鋳物製です。 この2つのプラッタの違いを見ていきます。 振動という点から見ると、TD184鉄板プレスプラッタにはTD124アルミ鋳物プラッタにある制動力はほとんどなく、振動共振の質がそのまま音に影響を及ぼします。 それがプラスとして働けば音の面白さとなって出てくる、マイナス面に出ると再生時の響きが浅くなってしまうという、両刃の剣なのでもあります。 したがってモータのチューニングはTD124とTD135の中間から少しTD124側に寄った所に設定するのがTD184 EMPORIUMにはふさわしいのです。 モータの振動パターンもTD184 EMPORIUM固有のものに仕上げなければなりません。 鉄板プレスプラッタは1kgという軽さのため、歯車的動作がダイレクトに働きます。 慣性質量が小さいからです。 ですからモータの動力をステッププーリに伝えるゴムベルトの伝導エネルギーのロスは極力減らすのが大前提です。 次にアイドラーは鉄製のそれもあまり厚みのないプラッタの側面に接触することを考慮して、徹底した研磨による密着性を高めていきます。
モータの精度の向上も重要です。 これはTD124より慎重に作業します。 TD184のシャシは鉄板プレスなのでTD124アルミ鋳物シャシの様に働かずして働くという性質は無く、むしろ働き過ぎるきらいがあります。 従ってモータそのものをシャシに実装してから念入りにチューニングと試聴を繰り返して効果的に仕上げていきます つづく
以上T氏
*其の壱
TD184プラスティックスピンドル仕様モデルは、もう一つのEMPORIUM
今回発見したレストア法によってTD184(最初期プラスティック軸受モデル)はこの手のレコードプレイヤでは不可能と思われていた大型フロアーシステムでも鳴らすことが出来ます。 ことに低音の伸びがTD124と違い、軽くそれでいて量的に多い。 そのために深々とした低音が出る。

*其の弐
TD184シャシは鳴きが少ない
TD184は同系TD134、135と比較した場合シャシがほとんど鳴かず、手でたたいても本来カンと鳴るべき鉄板シャシがコンとしか響かない。 それはTD134、135にはない構造があり、それらに要するパーツがシャシに取り付けられて振動吸収力が増えたからでしょう。

*其の参
TD184 EMPORIUMの回転機構の精度を上げてみると
TD184 EMPORIUMでは回転系の精度はTD124とはまた別の意味で重要です。 TD184は直径25cm、重量1kgという軽く小さな鉄板プレスのプラッタであり、シャシもまた鉄板プレス製です。 TD124は直径30cm重量5.5kgの鋳物鉄製、シャシはアルミ鋳物製です。 この2つのプラッタの違いを見ていきます。 振動という点から見ると、TD184鉄板プレスプラッタにはTD124アルミ鋳物プラッタにある制動力はほとんどなく、振動共振の質がそのまま音に影響を及ぼします。 それがプラスとして働けば音の面白さとなって出てくる、マイナス面に出ると再生時の響きが浅くなってしまうという、両刃の剣なのでもあります。 したがってモータのチューニングはTD124とTD135の中間から少しTD124側に寄った所に設定するのがTD184 EMPORIUMにはふさわしいのです。 モータの振動パターンもTD184 EMPORIUM固有のものに仕上げなければなりません。 鉄板プレスプラッタは1kgという軽さのため、歯車的動作がダイレクトに働きます。 慣性質量が小さいからです。 ですからモータの動力をステッププーリに伝えるゴムベルトの伝導エネルギーのロスは極力減らすのが大前提です。 次にアイドラーは鉄製のそれもあまり厚みのないプラッタの側面に接触することを考慮して、徹底した研磨による密着性を高めていきます。

以上T氏