2013年12月31日

レストアされていないTD124から見えてくるユーザのこころ

最近のTD124のレストアに関してユーザの方向性ははっきり二つに分かれてきています。 インターネットで内外から買われた製品をそのままグレイに送付してレストアするのが一つ、ノンレストアのまま使い続けどうにも使用に耐えなくなったためレストアを依頼されるのがもう一つ。 前者の場合、すでにこのブログをお読みになっていて、今日ではTD124はレストアしない限りたとえ定速で回転しているとしても、所詮正常の範囲から大きく劣化した性能のTD124であることを認識されている方です。 しかし後者の方はそうではないようです。 ノンレストアTD124を見ればすぐに判ります。 まず、大変汚い、裏側はともかく表面のシャシーの汚れがそのままで、一度ぐらい汚れを取っても良いと思うのですが、まずありません。 こんな汚れた品をどうしてオーディオ信号のいちばん初めの部分に使うのか、その神経が理解しづらい。 汚いものからは下らない音しか出ない。 これは自然なことです。 こうした個体は裏側のトランスポート部もそうですが、電源廻りが相当あぶないのです。 漏れたオイルが配電板に接続コードを経由して流れ、真っ黒になっていたり、電源スイッチにまで及んでいるとマジ危険です!! この手の個体には電源部のカバーが紛失しているものが多い。 いつショートしても不思議でないのです。 しかし使っている方は危険などこれっぽちも知っちゃいないのでしょう。 これこそがオーディオ再生における最大の問題なのです。 プレイヤのコンディションに無関心であることは、そのまま再生音にも何の関心ももっていないことになるからです。 本当にオーディオ装置から良い音、良い音楽を聴こうとすれば、レコードプレイヤの再生に果たす役割はとても大きいのです。 これを無視すれば悪くはなっても良くは出来ない。 いくらアンプリファイアーが優秀かつ高級なものであったとしても何の効果も果たしはしません。 TD124を不調のままで使い続けている方はレコードプレイヤはきちんと定回転さえすれば良いと考えているだけなのだと思えます。 レコードプレイヤの力を認識してはいない。 また、レストアしていないTD124は現行の品と比べて安いということも理由のひとつだと思います。 ガタガタのTD124でも同じ価格の現行のベルトドライブプレイヤよりましな音は出るでしょう。 市場にTD124が結構あり、具合が悪くなれば捨てればよく、ジャンク品として売ることも出来ます。 TD124の中には初期型の貴重な製品であっても、ゴミの塊みたいな状態になってしまっている個体もレストア依頼で送られてきます。 こうした製品のユーザの傾向としてレストア後のTD124が動作音ノイズが高くなったが、と言及されます。 当たり前のことです。 レストアされる以前の品はあらゆる部分が錆で詰まった状態になっていて、人間で言えば動脈硬化を起こし脳卒中で寝たきりになったと同じ状態であって、それがレストアして正常になればトルクの増大により回転系にストレスがかかり一時的にノイズが出るのは仕方ないものなのです。 しかもその出方も使い方によって様々に変化する。 あまりひどい使われ方をしていれば、どうしても動作に支障が生じやすくなってしまう。 こればかりはレストアと言ってもすべて元通りというわけにはいかない。 不思議なことにこれらの方々のレストア後の話に、ほとんど音質の変化について言及することがありません。 つまりTD124をレストアしてもしなくても再生音は変化しないということになる。 これは一体どういうことなのか、冒頭の前者のケースはレコードプレイヤによってこんなに音が変わるとは思ってみなかったというお話しをうかがうのに。 ではなぜこんな現象が起こるのでしょう。 一つはTD124に接続されているオーディオ機器が反応力には無縁の垂れ流し信号に反応するものであるケース。 もうひとつはカートリッジもアームもケーブルもアンプもスピーカーも何一つまともな状態でない場合です。 随分ひどいことを言うと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、歴然とした事実です。 入力信号の初めの部分が変われば本来オーディオシステムが正常かつ反応力で満たされていれば劇的に変化をしなければ嘘になります。 アナログオーディオとは本来そういうものなのです。 こういうことを良く判っているからヴィンテージ時代には各社から様々な力を持つレコードプレイヤが出ていたのです。 レコードプレイヤの真の力はオーディオ再生において起点です。 これを、疎かにしては何も得る事は出来ません。 こうしたことがレストアしていてユーザの心情と神経が伝わってきたことです。 もう少し言わせてもらえれば、TD124のコンディションにまったく無関心なユーザに使われ続けた個体は魂が抜けているように私には伝わってくるのです。 TD124に触れても有機的な反応が感じられない。 これに比べてはグレイがスイスから仕入れてくる個体からは何かしら前の所有者の魂みたいなものが感じられるのです。 まだ俺は充分働けると言っているように思われる。 ところが無理やり動かされ続けるとトーレンスTD124は黙り込んでしまう。 何も答えてくれず、私は戸惑ってしまいます。 その品がどのようになりたいのか見えてきません。 そのため完成したモーターを手で包んで温めるような儀式を行うこともあります。 人間のように冷えた心を温め気休めに過ぎないかもしれませんが、少しでも有機的な力を取り戻して欲しいためにすることなのです。 以上T氏

『こんな汚いプレイヤを部屋に置いて、よく音楽を聴いていられるな』 というのがT氏の口癖。

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Studios Hoche での録音風景 オークレールのシューベルトもここで収録





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