2015年03月30日

英国のトーンアーム The Transcriptors Fluid arm

1969年、そのデザインの奇抜さを聞きつけたスタンリー・キューブリックはボアハムウッドにあるデイヴィド・ギャモンドの工房を訪ね、構想中の映画に使用したい、と所望した。 それがエキセントリックなプレイヤ、
Transcriptor Hydraulic Refernce player だった 。 transcriptors_hydraulic_ref 

『時計仕掛けのオレンジ』(1971年)では寝室や病院のシーンに登場し、その奇怪で美しいデザインに一躍注目を浴びる。  Transcriptor社はこのシリーズで後にいろいろなヴァージョンを販売したが、やはり初代のこれが一番ワルの音が出る。  


Look-Of-Love
 

構造を見ると、オイルダンプ機能をそこここに隠し備えていて、それが『音の悪魔』につながっている。 初代モデルにとりつけられていたトーンアームがFluid arm で、悪意を含んだ音質に多く貢献している。 どんな悪さだって? それは聴いてもらわなければ判らない。 ピンク・フロイドのメンバ、ハーマンズ・ハーミッツのピーター・ヌーンなどのセレブレティが使用していたプレイヤだから、どんだけ悪いか、想像はつくだろう。

RIMG0032


音の悪、これ、聴いていると病みつきになるから、こわい。 
モーツァルトに隠された悪、ラヴェルの悪の影・・・。
悪い音だ、でも、嫌な音ではない。

ニューヨーク近代美術館、ロンドン・デザイン・ミュージアム(気持ちの良い美術館!)買い上げ作品である。



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