2015年04月21日

DECCA ffss Pick-Up

英DECCA社ステレオLPに併せて1958年に発売されたffss、これを英国ピックアップシリーズ第6回では取り上げます。 当時としてはかなりの数量が市場に出回りましたので、中古で容易に入手できるシステムです。 再生音について書かれたり言われたりはいろいろありますが、音の悪さを言う方は、適切な使い方をしていないだけです。 ffssの音質および音楽再生能力に否を唱える方、それ自体、自らのオーディオクオリティのレヴェルを示しています。 英DECCA社が自社のレコードを聴いてもらうために製造した品であるからして、悪かろうはずはないのです。

RIMG1269


切れ込み鋭い音と言うのを良く聞きますけれど、私はそうは思いません。 音色は特有の華やかさに満ちて、音楽が香ってくるようであり、レコードを聴く喜びがいつも蘇ります。 フォノモータに関しては、やはりCOLLAROとの組み合わせが一番かと考えます。 ffssカートリッヂが自然でふくよかになるのを聴いて、そう思うのです。 GARRARD301とは組み合わせるのはあまりお勧めはしません。 RIMG0036音の伸びが少なく、スタジオの音出し用の隈取の濃い、骨っぽく、ギスギスした音になりがちです。 放送局やカートリッヂそのものの検聴用でしたら、頑丈で毎回同じ音が出ますので問題ないのでしょうが、この組み合わせで家庭で音楽を聴くとなると、どうかな、と言うのが正直なところです。 
TD124と組み合わせるのも、お勧めしません。 英国オーディオの特長であるボトムエンドで溶解する低音が、スイス独特のしっかりとした骨格で再生されてしまっては、反応しようがないからです。 見栄えも良くありません。 

程度の良い保存状態の個体でしたら、そのまま使用しても構いませんが、ほとんどのffssアームは上下動ベアリングの調整が狂っています。 パイプを持って水平に動かしてわずかでもガタがあれば問題です。 この調整はベアリング部にあるネジの締め具合により簡単に調整できますので、お試しください。 ガタがあれば音の先が滲み歪が多くなります。 締めすぎると音が伸びなくなりますし、リズムが鈍く音の数も減ります。 音色が豊かに出るポイントを見つけてください、と同時に響きが伸びやかになるはずです。 もちろん調整の責任はユーザの方にありますので悪しからず。 それと水平方向のベアリングにはグリースが塗られているのは周知の事実です。 コンプライアンスがやや低いffssに適するように水平方向ベアリングのフリクションをコントロールすべく塗られた処置ですが、グリースが硬化しているとフリクションが増大している可能性があります。RIMG0038 これを判断するには実際に聴きながら、さまざまなグリースの粘度を試して決定するしかありません。 しかし、硬化したグリースを使用し続けるよりも良い結果が得られる場合が多いというのが私の経験から言えることです。 ですが、これは比較的面倒な作業になるのを覚悟してください。

ffss ピックアップは現在でも比較的容易に入手できますが、ヴィンテージである限りコンディションは千差万別です。 できれば複数個入手して、本来の音質を推測確認判断することをお勧めします。 それだけffssカートリッヂの音質の個体差は大きいのです。 ffssに関しては、他の方もたくさん書かれているので、このへんでやめておきます。

COLLARO 4T200 DECOLA +  GOODSELL MA20 アンプリファイア + WARFEDALE SFB3スピーカ で試聴したうえで書きました。

つづく
以上T氏

参考ページ

デコラにお辞儀する ?
デコラにお辞儀する? 2
British Racing Green
DECCA ffss カートリッヂの真の姿を探る
DECCA ffss カートリッヂの真の姿を探る 2
DECCA ffss に痺れる

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2015年04月21日