The Transcriptor Fluid arm
英国ピックアップシリーズ第12回は、1966年発売のTranscriptor Fluid arm です。 前回のAudio & Design社LABORATORY アームと同時期に登場しています。 このアーム、アヴァンギャルドなアームです。
新製品と言われれば信じてしまうスタイリング。 これもまた一点支持ヴィスコース・ダンプ式を採り、英国トラディションをしっかり踏襲しています。 外観はEPU100がさらに進化したものに見えるし、すごく細くてカクカクと曲げられたパイプの形状はEMI 17AE型やACOUSTICALといった質量分離型を下敷きにしたものかもしれません。 可動しない質量分離型のように見えるのも良い。
再生音はどの時代にも属さない独自のものであります。 細身でしなる音が響きをくっきりと際立たせ、主音と響きが不倫している。 音楽のこころがあいまいで、かってレストアした怪物9万台の音を彷彿させます。 存在するすべてのアームがつむぎだす音を全否定しかねない再生音なのです。 これはこれですごい。 しばらく聞き続けているとやがて音の形自体が見えてきます。 暗黒星雲から星が誕生するに似て静を湛えたドラマが展開していきます。 狂人の作品と一言で片づければ簡単でしょうが、それはできません。 なぜなら正真正銘、実は正気の音なのですから。


音楽を成立させるに必要な表現がまた、独特です。 音楽を性悪にして、色彩付けをしない。 音楽が向こうから邪悪な眼で睨んでいる。 音が溶解していくその瞬間に、音色が聴き手に認識されるという、ちょっと絡めての再生スタイルなのです。 定位も音像もしっかりとハンサムに再生するのですが、それは束の間のことで不意に消えてしまう。 ステレオは音の魔法であると見切ったしたたかさ。 このアームもステレオ再生に憑きものの平明さを嫌い、どこかに引っ掛かりを見つけて印象に残る音を出そうとしているのが判ります。 つまりハンサムな音場にどこかしら悪意を潜ませて、音楽を面白くさせている。 きわめて腹黒いケミカル化時代への復讐です。
Shure M75-65を取り付けて60年代後半以降にプレスされたオリジナル盤を試聴しました。 他の機器はフォノモータはTD124Mk.2 + GOODSELL MA20 アンプリファイア + VITAVOX CN191 です。
参考ページ
英国のトーンアーム The Transcriptors Fluid arm
Dear record and audio lovers,
Our place is located in a small town where is not well known,
however, full of interesting scenery,foods and people.
Near Narita airport
Why not visiting us and listening to music together ?
greythorens@kind.ocn.ne.jp

再生音はどの時代にも属さない独自のものであります。 細身でしなる音が響きをくっきりと際立たせ、主音と響きが不倫している。 音楽のこころがあいまいで、かってレストアした怪物9万台の音を彷彿させます。 存在するすべてのアームがつむぎだす音を全否定しかねない再生音なのです。 これはこれですごい。 しばらく聞き続けているとやがて音の形自体が見えてきます。 暗黒星雲から星が誕生するに似て静を湛えたドラマが展開していきます。 狂人の作品と一言で片づければ簡単でしょうが、それはできません。 なぜなら正真正銘、実は正気の音なのですから。


音楽を成立させるに必要な表現がまた、独特です。 音楽を性悪にして、色彩付けをしない。 音楽が向こうから邪悪な眼で睨んでいる。 音が溶解していくその瞬間に、音色が聴き手に認識されるという、ちょっと絡めての再生スタイルなのです。 定位も音像もしっかりとハンサムに再生するのですが、それは束の間のことで不意に消えてしまう。 ステレオは音の魔法であると見切ったしたたかさ。 このアームもステレオ再生に憑きものの平明さを嫌い、どこかに引っ掛かりを見つけて印象に残る音を出そうとしているのが判ります。 つまりハンサムな音場にどこかしら悪意を潜ませて、音楽を面白くさせている。 きわめて腹黒いケミカル化時代への復讐です。
Shure M75-65を取り付けて60年代後半以降にプレスされたオリジナル盤を試聴しました。 他の機器はフォノモータはTD124Mk.2 + GOODSELL MA20 アンプリファイア + VITAVOX CN191 です。
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英国のトーンアーム The Transcriptors Fluid arm
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