Connoisseur SAU 4 Viscous Damped Uni-Pivot Tonearm
英国ピックアップシリーズ第13回は、Connoisseur SAU 4 Viscous Damped Uni-Pivot Tonearm (1977)です。 このシリーズでは、一番遅く1970年代に製作されたものです。 聴いた途端、A.R.SUGDENは魂を売っていない、と直感します。 レコードが不毛だった1970年代後半で、これだけの再生ができるアームを製造しているのですから。 清水(きよみず)のごとく、自然に振幅する、ストレスがなく、それでいて新鮮な果実の香りがする、レコードがレコードとして再生されているのです。 当たり前のことですが、1970年代後半にこれだけの音が出せるトーンアームはそうはありません。 驚くべきは1950年代後半のモノーラル盤や初期ステレオ盤も、その時代の優れたトーンアームに伍する味わいを備えているからすごいのです。 Connoisseur 社は創業以来優秀なトーンアームを登場させましたが、最後に送りだしたこのアームを代表する製品として書くことにしました。
英国趣味ともいえる一点支持ヴィスコースダンプ方式を採用し、さらに実効質量を最小にするべくデザインされています。
そこまでは他の英国アームと一緒ですが、違うのはとにかく音が可愛らしいこと、先輩アームのように大輪の花を咲かせるというのではなく、春まだ浅き野辺にひっそりと咲く小さな花の趣きです。 シュトラウスが書いたワルツのリズムの揺れを、これほど見事に表現してくれるアームはそうはないのです。
リズムが、音色が、微笑んでいます。 音の一粒一粒が内なる輝きから湧き上がる音色によって光を放っているのです。 それは音の朝露の表面張力がきっちりとかかっているからでしょう。 野の花のしたたかな野性の図太さもしっかりと輝きと弾みが音楽の滋味を一層引き立てて、ぐいぐいと惹きこまれます。 小粋で洗練された音、さわさわと梳られた吐息の気配、ヴァイオリンの艶返し、しなる液体質のピアノ、低音高音定位音場ではなくて音楽本来が持つ誘惑を再生しているのです。 モノーラル録音のスタンダードジャズ、白人女性ヴォーカルに良く反応します、もっともビー・バップは下品と、ばっさり斬捨ててしまいますが。
このアームは8インチと少し短かめ。 これが粋でしたたかな低音を伸ばして、味があります。 短いアームで、フラフラなピヴォットでありながら、表情豊かな低域を聴かせる。 Arnold Sugdenは以前にも書いたように、戦前にMC型カッターマシンを最初に製作したエンジニアで、1956年にはロンドンのオーディオフェアでステレオレコードを初めてデモンストレイトしたオーディオを知り尽くしたご仁です。 その彼がオーディオにさよならのしるしに置いていったトーンアーム、おもちゃっぽい外観だけれども、いろいろなアイデアが込められています。 トレース能力だけのトーンアームが発売される中、英国の田舎のにおいのする、魂のこもった音楽再生をサポートするアーム、音楽の愉しみをたくさん伝えてくれます。 是非ロングアームの低域とこのアームの低音を比べていただきたいものです。 アームの長さと低域の関係、多くの方は誤解なさっているのです。
実はこのアーム、20年以上前にA氏がパリで老コレクタから箱入りのものを、『CONNOISSEURなんて誰も知らないが、このアームはただものではないから』と穏やかながら半分押し付られて購入させられたとか。
不思議と言えば不思議です。 遠い英国の地で作られたものが、日本人のこころの深くにひそむ人情を思い起こさせる音を出す。 それこそ音楽が持つ力なのでしょう。 とすれば、このアームが持つ音楽再生能力は見かけによらず相当高いことになります。 このSAU4の造りの良さも私たちは見るべきです。 小さくて華奢な品をこしらえることがどれほどの工業力を必要とするか、この時代の英国人は大したものだと感心せざるを得ません。
CONNOISSEUR CRAFTSMAN3 とTHORENS TD124Mk.2の2台に取り付けて試聴しました。 アンプリファイアはCONNOISSEUR TYPE S.6.6.ステレオアンプリファイアとWARFEDALE SFB3の組み合わせです。 つづく
以上T氏
Dear record and audio lovers,
Our place is located in a small town where is not well known,
however, full of interesting scenery,foods and people.
Near Narita airport
Why not visiting us and listening to music together ?
greythorens@kind.ocn.ne.jp
英国趣味ともいえる一点支持ヴィスコースダンプ方式を採用し、さらに実効質量を最小にするべくデザインされています。


このアームは8インチと少し短かめ。 これが粋でしたたかな低音を伸ばして、味があります。 短いアームで、フラフラなピヴォットでありながら、表情豊かな低域を聴かせる。 Arnold Sugdenは以前にも書いたように、戦前にMC型カッターマシンを最初に製作したエンジニアで、1956年にはロンドンのオーディオフェアでステレオレコードを初めてデモンストレイトしたオーディオを知り尽くしたご仁です。 その彼がオーディオにさよならのしるしに置いていったトーンアーム、おもちゃっぽい外観だけれども、いろいろなアイデアが込められています。 トレース能力だけのトーンアームが発売される中、英国の田舎のにおいのする、魂のこもった音楽再生をサポートするアーム、音楽の愉しみをたくさん伝えてくれます。 是非ロングアームの低域とこのアームの低音を比べていただきたいものです。 アームの長さと低域の関係、多くの方は誤解なさっているのです。
実はこのアーム、20年以上前にA氏がパリで老コレクタから箱入りのものを、『CONNOISSEURなんて誰も知らないが、このアームはただものではないから』と穏やかながら半分押し付られて購入させられたとか。
不思議と言えば不思議です。 遠い英国の地で作られたものが、日本人のこころの深くにひそむ人情を思い起こさせる音を出す。 それこそ音楽が持つ力なのでしょう。 とすれば、このアームが持つ音楽再生能力は見かけによらず相当高いことになります。 このSAU4の造りの良さも私たちは見るべきです。 小さくて華奢な品をこしらえることがどれほどの工業力を必要とするか、この時代の英国人は大したものだと感心せざるを得ません。
CONNOISSEUR CRAFTSMAN3 とTHORENS TD124Mk.2の2台に取り付けて試聴しました。 アンプリファイアはCONNOISSEUR TYPE S.6.6.ステレオアンプリファイアとWARFEDALE SFB3の組み合わせです。 つづく
以上T氏
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