2015年06月08日

SME3009S2 Stereophonic tonearm

英国ピックアップシリーズ第14回(最終回)を飾るは、SME3009S2ステレオトーンアームです。  ご存知のとおりSME社の前身はアラステア・エイクマンが1946年に設立したSCALE MODEL EQUIPMENT co. ltd というフルネームで模型を販売していました。 

sme scale model

mercedesたとえばこれは1950年代始めに販売したスロットモデルで、ボディは木製。 広告文を少し紹介してみましょう。 ”忠実に再現されたワイヤスポークホイール、ミニチュアのダンロップタイヤ、それにリブ・ブレーキドラム、アクセル、エキゾーストパイプ、ステアリングはメッキ・プレイトされており、世界中のどのモデルにも真似のできない出来映えを誇ります。 ボンネット下部には小型精密モータがマウントされ、スロットレーシング場を縮尺上190マイルで疾駆します。” とあり、50年代初めにはもうスロットレーシングが英米では普及していたのも驚きですが、プラスティックモデル登場前夜これほど精巧なモデルを前に少年たちの眼の輝きはいかばかりだったことでしょう。  box jpgsme box 

僕も中学校の頃、銚子のスロットレーシングコンテストで優勝した時のことを思い出します。 愛車はブリティッシュレーシンググリーンにイエロウアロウのジャギュアDタイプ(田宮模型製)でした。 スケールモデルというものはただ縮尺通りに型をつくりません。 小ささならではの量感やデザイン上の個性を誇張してモデリングします。 そのセンスがあるかないかで、実際に走らせたときのワクワク感が全然違うのです。 男の子の皆さんもスケールモデルを下から見上げては興奮したことありませんか? 優れたモデルは本物にある風格まで備えています。 ここまで書けばお分かりでしょう。 SME社長エイクマンは、音の拡大、縮小に関しても素晴らしいセンスを持ち合わせていました。 特にディテールのこまやかな質感、ぐちゃっとならずにスックと立つ音の姿、カチリと揃うハーモニクスの彩、実際の音景、音形を見事にそれらしく、いやそれ以上に再現してしまう術を心得ていたのです。 つづく
以上T氏

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2015年06月08日