2016年05月29日

グレイ型TD124キャビネット製作記  3

2 オリジナルキャビネット本体の材質

不思議な木材がTHORENS社製オリジナルキャビネット(ST104)に使用されています。 見かけでは、大工職人が使う手カンナの台の白樫に近いのですが、それより柔らかく軽い。 RIMG0526こうした木材は日本にはありません。 それではヨーロッパには今日も在るのかというと、もう無いと思っています。 木の目は、西洋人が好む板目ではなく、柾目です。 塗装して見えないから木目など関係ないとは考えず、良い音のために良い木材を良い方向で使っただけなのでしょう。 手でコンコン叩くと無塗装時はA音に近く、塗装後は少し下がりはしますがG音までは行かない程度に落ち着いています。

3 オリジナルキャビネットの塗装

THORENS社製オリジナルキャビネットは大体側板の見付け部以外は塗っておらず、内側は吹きこぼしのままです。 この内側は別に塗装しても厚塗りでなければそれほどの影響はないようです。 以前私がオリジナルキャビネットを再塗装した時は古いものなので湿気をためやすく、それを将来的にも防ぐためにも内側を塗っていましたが、その心配はしなくとも良いように思えます。 また最近のリメイクキャビネットには木目を出したものがありますが、私はこれまで木目を出したTHORENS社製オリジナルキャビネットST104型では黒塗装以外見たことがありません。 
RIMG0532

市場に出回っているリメイクキャビネットには木目を出した塗装が結構ありますが、音ははっきり言って最低です。 製作者はおそらくちゃんとした状態のTD124 で試聴などしていなのでしょう。 まず塗料がおよそ音響製品に使用してはいけないものです。 硬化剤入りのウレタン系の塗料です。 ただでさえ必要以上に重くて硬い木材を余計に硬くして音がカンカン跳ねるのです。 何故家具売り場にあるようなテーブルや料理屋のカウンタに使うような塗料を使用するのでしょう。 理由は手間をはぶくためです。 オイルステン塗装のように長い時間をかけて十回近く塗らなくても良いからです。 手間を省くと碌な音は出ない。 これはヴィンテージオーディオの決まり事です。 材料の特殊性ばかりを宣伝文句にする近年のハイエンドオーディオとは違い、ヴィンテージの場合は何も特殊な塗料を用いなくても良いのです。 オリジナルキャビネットでは塗料は一種のダンプ材として働きます。 ここのところをよくよく考えてみないと、良いキャビネットを製作することは出来ません。 つづく
以上T氏

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2016年05月29日