GARRARD301とノイズ 2
GARRARD301がスタジオが要求するノイズ基準を満たすために採用したモータ懸架方式は、TD124がフォノモータとして自らが生み出す振動によりトーンアームの振動ノイズを整流して良質なものとするはたらきは当然持ち合わせていません。 振動の方向性も流れもなく、物理特性向上のためにモータ振動をシャシから切り離したために、トーンアームは自らの振動が流れなくなるために、振動は凝固し始めます。 トーンアーム内にはカートリッヂがトレースする際の振動エネルギーとレコードから拾うノイズがどんどん滞留し、再生音が電気的歪によって侵されていきます。 聴覚的にはカートリッヂがきちんと接続されていない感じを受けて、ちょうど軽度のハウリングが起こった再生音のような感じになります。 滞留がさらに進むと、再生音全体がゆるめのコンプレッションがかかった状態に陥ります。 この再生音がわが国ではJAZZ愛好家の方々に好まれるのですから、わからないものです。 301の機械力の少なさはアーム固有の能力にも影響を及ぼしてしまうのです。 つまりどんなアームを取り付けても音は同一化してしまう、という傾向があります。 それに伴い、ある一定水準の再生レヴェルから向上しない、下落はするけれど上がらないのです。 こうした301の性格は販売者側もユーザも最近はわかり始めてきたようです。 もうちょっと、何とかならないかと考案した結果が重量級キャビネットです。 重量と質量で何とかしようとしたのですが、結果はあまりパッとはしません。 それでアームをあれこれ探し始めてたどり着いたのがオルトフォン社製SPUカートリッヂと一連のトーンアームでした。 これによりある程度は解決したのです。 レコードのノイズもひずみもほとんど感じられなくなります。 ニブイもの同士を組み合わせたからです。 「木を隠すなら森の中」とはよく言ったもので、販売者の勧めに従い多くのユーザはこの組み合わせに満足したのです。 ロングアームにするとさらに効果は上がります。 音楽はもはや電気的ひずみに埋もれ、その中から輪郭の太い直線的な音が飛び出してくるありさまは、愛好家が錯覚する本格的ジャズ再生に近いものがあります。 再生音全体がエレクトリック・ディストーションにあふれていて、ノイズもひずみもその中に溶け込んでしまうのです。
ニブイものが出たので、英国QUAD社製アンプリファイアについても触れておきます。 QUAD22+QUAD2はHiFi-Year Book(1958)にGARRARD301と組み合わせて一つのキャビネットに収められた写真が載せられていますし、わが国でも英国の音を味わうにはこの組み合わせと推奨されてもいましたが、ニブイもの同士なので、音はもうひとつ(時にはダメ)です。 しかし、英国ではこの組み合わせを何故あたかもスタンダードとして扱っていたのでしょう。 理由は簡単です。 英国人のおへそが普通より曲がっているからです。 彼らは普通の人が音楽を楽しむにはこれくらいで充分であると踏んでいたのだと、うかがえる節があります。 なぜならハイフィデリティの精神で高レベルの再生を目指すコニサたちは、オーディオ機器を自らの好みに適うように専門家にオーダーしていたからです。 英国オーディオ界では既製品というスタイルをとらず原則的にオーダーメイドであり、既製品は主にアメリカへの輸出を意識して製造されていました。
話を301に戻しましょう。 このフォノモータの本質はダイレクトドライヴと類似性があります。 機械力を極力排除し、振動の方向性を持たせない、それ故にアームはどこに部位に取り付けても音は変わりません。 TD124では複数アーム使用はよい結果を得られませんが、301は平気です。 これもスタジオ的要素とも理解できます。 実際そうした使い方をした301のスタジオ写真は多くみることができます。 今日301をこれから使ってみようとするユーザは、こうした事情を知った上で良しとしないいと問題が起きると私は思います。 クラシックが電気臭い音で鳴っても、再生帯域が狭くても、それが301の音であると、余裕で受け入れられる方こそ、301オーナーにふさわしいのです。 つづく
以上T氏


ここで言及されているアンプはあくまでQUAD2のことであり、QUADの前身であるACOUSTICAL社時代に製造されたQUADアンプリファイア(QUAD1)はQUAD2とは一線を画す優れた再生音を誇る。 QUAD2はあくまでESL(Electro Static Loudspeaker)と組み合わせて効果が上がる製品であり、他のスピーカと接続しても、良い結果が得られないのは仕方がないが、前のモデルであるQUAD1は自社製スピーカシステムAcoustical Corner Ribbonのみでなく、VITAVOX/SOUNDSALES/BARKER DUODE等のHi-Fidelity unit との組み合わせでも優れた能力を発揮するのを確認している。 また301についてはT氏が言及するほど悪い印象を持たない。 きれいに歌われた時のような青を再生してくれる。 音楽に深入りしないところも、長所だと思っている。
ニブイものが出たので、英国QUAD社製アンプリファイアについても触れておきます。 QUAD22+QUAD2はHiFi-Year Book(1958)にGARRARD301と組み合わせて一つのキャビネットに収められた写真が載せられていますし、わが国でも英国の音を味わうにはこの組み合わせと推奨されてもいましたが、ニブイもの同士なので、音はもうひとつ(時にはダメ)です。 しかし、英国ではこの組み合わせを何故あたかもスタンダードとして扱っていたのでしょう。 理由は簡単です。 英国人のおへそが普通より曲がっているからです。 彼らは普通の人が音楽を楽しむにはこれくらいで充分であると踏んでいたのだと、うかがえる節があります。 なぜならハイフィデリティの精神で高レベルの再生を目指すコニサたちは、オーディオ機器を自らの好みに適うように専門家にオーダーしていたからです。 英国オーディオ界では既製品というスタイルをとらず原則的にオーダーメイドであり、既製品は主にアメリカへの輸出を意識して製造されていました。
話を301に戻しましょう。 このフォノモータの本質はダイレクトドライヴと類似性があります。 機械力を極力排除し、振動の方向性を持たせない、それ故にアームはどこに部位に取り付けても音は変わりません。 TD124では複数アーム使用はよい結果を得られませんが、301は平気です。 これもスタジオ的要素とも理解できます。 実際そうした使い方をした301のスタジオ写真は多くみることができます。 今日301をこれから使ってみようとするユーザは、こうした事情を知った上で良しとしないいと問題が起きると私は思います。 クラシックが電気臭い音で鳴っても、再生帯域が狭くても、それが301の音であると、余裕で受け入れられる方こそ、301オーナーにふさわしいのです。 つづく
以上T氏


ここで言及されているアンプはあくまでQUAD2のことであり、QUADの前身であるACOUSTICAL社時代に製造されたQUADアンプリファイア(QUAD1)はQUAD2とは一線を画す優れた再生音を誇る。 QUAD2はあくまでESL(Electro Static Loudspeaker)と組み合わせて効果が上がる製品であり、他のスピーカと接続しても、良い結果が得られないのは仕方がないが、前のモデルであるQUAD1は自社製スピーカシステムAcoustical Corner Ribbonのみでなく、VITAVOX/SOUNDSALES/BARKER DUODE等のHi-Fidelity unit との組み合わせでも優れた能力を発揮するのを確認している。 また301についてはT氏が言及するほど悪い印象を持たない。 きれいに歌われた時のような青を再生してくれる。 音楽に深入りしないところも、長所だと思っている。