かおりよき あおのり
夏、祇園祭のころ、デパ地下で「あおのり」はありませんか? と尋ねたら、「たしか、ここにございます」と案内された棚、いろいろなあおのりが並んでいる中、長い間探していた「そのもの」を見つけ、
思わず「そうです、これです!」と、係の方にさけんでしまったのは、なんだか味わったことがないほどの「みっけ」感があったからであり、家に帰ってつつみを開けて手に取ると、さらさらさらさらとしたあおのりが栓まで一杯に詰まった硝子瓶はひんやり重く、掌にしっぽり納まる「佳き品」で、お昼の野菜スープにはらはらふりかけた途端、なつかしいかほりがテーブル一杯に広がって、茶色く丸いちゃぶ台が浮かんでくる気がして、瓶詰はいいなあ、と思った。
