2020年02月17日

TD124 E50 Motor

THORENS TD124を駆動するE50モータをレストアします。E50はTD124の心臓、音を繰り出すみなもと。分解してクリーニング、シャフトと軸受けとハウジングを磨き上げ、ベアリングとスラストパッドを新品と交換してフェルトを元どおりに時間をかけて復活させる。作業が終われば再組上げ。モータハウジングの四隅のネジを耳を当てながら締めていく。振動に、微かなノイズと振動を感じながら締めていく、慎重に、慎重に、音楽のみなもとになりますように。最後までしっかりと、4本のネジを締めていきます。シャフトを手で回しているうち、かすかにノイズの中に音色が聞こえてきました。ロータが油を練るように回転するポイントを探し出すのです。液体質の回転の中にちいさいけれど爽やかな生命力が宿っているのが指先から伝わります。そうして生まれる摩擦から解放された瞬間。すかさずコイルに電気を流し込む、最初は低く。10VACというささやかな圧力で血液を供給すると、ジワリと回転は開始。一連の作業に測定器は使いません。指先と手のひらと耳で音楽のみなもとを探しあてるのです。モータが持つそれぞれの個性と情感を見極めながら。つづく




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2020年02月17日