2020年04月15日

左と右の耳

ティクティクティック、カンカンカン・・。腕時計を耳にあてる。左耳と右耳で聞こえ方が違う。ほかの人とではもっと違うはず。いま、銚子のオフィスで使用しているスピーカは右と左が違います。RIMG2441たまたまステレオで揃うスピーカの在庫が切れた窮地の策です。しかも左は後ろを、右は上をユニットが向いています。でも左右のスピーカをいろいろ動かしているうちに響きの良い空気の震えが生まれます。右と左のスピーカで定位を探すのではなく、右と左のスピーカの音が綺麗に混じるようにして伸びやかな響き、音色、音の素の肌触りを探るのです。ちょうど、美味い料理とワインが口の中で混ざり合い反応して一層の旨みを味わえるように。こうしてレコードを再生すると聴いていてすごく楽です。音色が溢れて肌で空気の震えを感じる、このダイレクト感。スピーカを聴くのではなく空気の中で聞く。演奏する人の気持ちの中にいるような感じに浸れます。右耳と左耳が違って聞こえることに感謝さえしています。

RIMG2434

左チャンネル 英DECCAキャビネット(Lowther PM6)は後ろ向き
右チャンネル 英AUDIOVECTOR(Lowther PM4のみ)は上向き
Lowther 独特の絹のような繊細さと太い中低音、ほぐれた音で空気をサクサクと刻みます。研いだ裁ちばさみで大きな布をまっすぐに切る、あの気持ちよさです。ひょっとして右と左の耳の聞こえ方の違いは、右と左のスピーカの再生音の違いより大きいかも。それでも気持ちが確かによいのです。


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2020年04月15日