TD124 フルレストア 第二段階へ
トーレンス社製TD124プレイヤのフルレストアは今年から第二段階に入っています。動作を初期性能にまで復帰させる。これは今までどおり。それと新しい作業。試聴しながら作業を加えて音質に磨きをかける。ユーザから主に聴く音楽の種類(クラシック、ジャズ、ロック、ポップスなど)、プレス時期(初期盤・70年代以降・現行盤など)を事前にインタヴュしておき、それに配慮した方向で作業を試みます。音色・音の肌合い・ハーモニクスの彩・明確なリズムの頂点・伸びのあるダイナミクス・雄弁な低音域・確かな音の芯・なまなましさ、などなど。書いてしまえば簡単ですが、どれも理不尽な日本語です。音に色なんて、音に肌触りなんて常識ではあり得ません。その理不尽がレコードには刻まれている。理不尽を再生する。理不尽な音が聴く人の心をうごかす。レコードの不思議。たとえばピアノのレコード。どんなプレイヤで聴いてもピアノらしい音は出てきます。でもレコードを聴こうというユーザなら、それでは満足しないはず。CDでもPCからもピアノらしい音は聴けるから。レコードでピアノを聴く以上、耳がピアノだと直感する音をだしてみたい。プレイヤのどの部分に手を加えると上手く行くかを知っているから、表現力が豊かなプレイヤに仕上がっていくのです。たとえば中高域の滲みを無くしたいとき、センタスビンドル軸受を特別な研磨剤ですこおしずつ磨いては聴きを繰り返すうち、ああこれピアノだ、とピンと来るあの感じ。ピアノらしい音ではなくピアノの音。ベートーヴェンで言えば、独DGGモノーラルのケンプ、英HMVのソロモン、仏ディスコフィルのナット、それぞれの喜怒哀楽に凄みがあります。だから耳が引き込まれるのでしょう。黒い盤に刻まれたピアノの底知れぬ音。昨年ロシアの女流ピアニストの演奏会を聴きました。ピアノがPAスピーカのように音を出している。いまどきのコンサートグランド、大きな音は出る、出るのですが、レコードのほうがピアノの音がしている。あ、これこれ、と感じてもらえるレストアがしたい。なんか変なことになってきました。
1 最初期型
2 初期型(〜18,000番台)
3 中期型(20,000〜50,000番台)
4 Mk.2型
1 最初期型
2 初期型
3・4 中期型
5 Mk.2
6 現行品
1 最初期型
2 初期型(〜18,000番台)
3 中期型(20,000〜50,000番台)
4 Mk.2型
1 最初期型
2 初期型
3・4 中期型
5 Mk.2
6 現行品