Delphon でヴァイオリンを聴いてみる
ブラームスというと茜色とか渋茶色。でも緑色したブラームスもいい。川端柳の新芽がそよぐともっといい。
演奏をYou Tube にアップしましたが、削除されましたので画像を入れておきます
グレイリストでもずいぶんとたくさん書いています
1980007 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 3番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) DGGプレス P;R.ガイィ E;G.ストイアバウト エリザベートで優勝した年に制作されたスタジオ録音。ヨーロッパ音楽をなんの苦もなく体得した最初の日本人ではないか。何かを注いで西洋音楽に命を与えている、ブラームスにある緑色のエスプレッシーヴォたちを引き出している。与えられた資質は、音程のとりかたにあるのは疑いもありません。低めのピッチに設けられた気持ち良いスケールは磐石であり、音に内包されている生命をゆっくりとおくり出している。『嫌な音』 ひとつ出さずに。呼吸しているブラームスを2曲も弾いてしまうなんて(3番の最終楽章は、ちょっと出来が不安定、ですが)。あまり良い楽器を使用していないのにも関わらず(ジョヴァンニ・バッティスタ・チェルッティ)、大したものです。長くなりついでに、もう一言。この若き音楽家、録音場所であるブリュクセルの空気(ちょっと重くくすんでいる)に向かってそよと乗せたり、くいと滑り込ませて音を出している。空気を本能で嗅ぎ分けている!そう、音のきらめきが感情のとおりに出せている。エンジニアが、気持ち良さそうに写し採っている。こういうレコードが出現すると、さあ大変。トイレを済ませ、五感を磨ぎ澄まし、回転スピードを合わせ、アンプのトーンコントロールを少しづつ動かし、彼女の出したい光を見ていたくなる。なんて音楽って、こわれやすい!!先月、神尾という少女が弾くパガニーニにサブイおもいをしただけに(サントリーホールがPAを併用するからよけいに)、神尾が生まれる前にブラームスを録音した堀米がいま、どういう音楽をしているのか、聞いてみたくなりました。このレコード、ひょっとして、このリストの10分の1以下の値段でどこかにころがっているかもしれませんけど。 盤美品 ジャケット(サインあり)美品 DP グレイリスト#45から
同上 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 2番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 パレ・デ・ボーザール ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) 独DGGプレス P;R.ガイイ E;G.ストイアバウト 横浜から、千住真理子というヴァイオリニストが、この町に来た。老人介護のところが半年に一度、音楽家を呼んでいる。両親はそこに介護をお願いしているから、ついでに聴かせてもらおう、ということになった。みすぼらしい小さな集会場に、二百くらいイスを並べて、老人たちを前にヴァイオリニストは出てきた。彼女は挨拶で、ヴァイオリンの音を耳だけでなく、全身で聞いて欲しいと言った。もちろん、マイクやスピーカーは使わない。最初のヘンデルのラルゴ、ピアノが前奏を弾いている間、彼女は、顔を心持ちあげて目を閉じていた。それだけで、今日はリサイタルになる、と僕は直感した。 彼女に対して、それまで、僕は好感をもってはいなかった。何年か前、毎朝欠かさず見たNHK連続ドラマ 『ほんまもん』 のテーマ音楽(愛の挨拶に酷似している)を聞くたび、 『ひどい』 と思っていた。教育テレビの 『ヴァイオリン教室』 を見ても、ちょっと違うんじゃないの、と思ったりもした。 それが、である。僕は、このヴァイオリニストに共感した。一曲、一曲、気の利いた言葉を添えて、音楽を、ヴァイオリンを聴きたくなるような視覚的姿勢と表情を見て、会場の皆と一緒に喜んで聞くことが出来た。目を瞑って聴けば、文句を言いたくなるところはあったけれど、老人たちがああして喜んでいるのを見て、ありがとう、という気持ちで一杯になった。彼女は世界第一級の演奏家を目指すのを棄てたのではないか。その代わり、もっと近くにいる人たちに喜んで聞いてもらいたい、という志が隠れている。良い考えだと思う。思ったよりがっしりとした骨格、左足を前に広げて弾くヴァイオリニストに老人たちが花を差し出した時、ちょっと涙が出そうになった。彼女は以前の彼女ではないと思った。話は長くなるが、先週ベルギーのブリュクセルのあたりの片田舎で有望な新人のリサイタルがあるというので、誘われるまま自転車に乗って聞きに行った。会場は蝋燭の灯だけの小さな教会で、暖かい拍手に迎え入れられたヴァイオリニストがプロコフィエフとヘンデルを弾いた。ときおりの瞬間が 『神がかった』 りして、ベルギー人の小柄な演奏家に驚嘆し、共感もした。ここでも数十人の聴客が演奏家と一緒に揺れ動いていた。堀米というヴァイオリニストのブラームスを聞くと、何故か、いろいろなことを書きたくなる。長くなりついでに、若い世代の日本女性は世界的に見ても美しく優れていると思う。外国で時たま見かける日本の女性は、ひけをとらない。その魁となったのが、この堀米というヴァイオリニストくらいからではないか。『痩せ刀』みたいな第二級のヴァイオリンをひたむきに奏する姿。重苦しいブラームスのソナタが生命を吹き込まれると、輝いて風にそよぎ始めるのが見えてくる。エリザベートで優勝した直後に制作されたスタジオ録音。 盤・ジャケット共美品 DP グレイリスト#58 から
同上 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 2番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 パレ・デ・ボザール ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) 独DGGプレス P;R.ガイイ E;G.ストイアバウト 少女から大人になる時期の女がブラームスを祈るように奏している。 ヴァイオリンをひたむきに奏する姿、それだけ想像しても、一粒一粒の音が音楽になって連なっていくのが伝わってくる。 盤美品〜ほとんど美品 ジャケットほとんど美品 DP グレイリスト#72 から
演奏をYou Tube にアップしましたが、削除されましたので画像を入れておきます
グレイリストでもずいぶんとたくさん書いています
1980007 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 3番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) DGGプレス P;R.ガイィ E;G.ストイアバウト エリザベートで優勝した年に制作されたスタジオ録音。ヨーロッパ音楽をなんの苦もなく体得した最初の日本人ではないか。何かを注いで西洋音楽に命を与えている、ブラームスにある緑色のエスプレッシーヴォたちを引き出している。与えられた資質は、音程のとりかたにあるのは疑いもありません。低めのピッチに設けられた気持ち良いスケールは磐石であり、音に内包されている生命をゆっくりとおくり出している。『嫌な音』 ひとつ出さずに。呼吸しているブラームスを2曲も弾いてしまうなんて(3番の最終楽章は、ちょっと出来が不安定、ですが)。あまり良い楽器を使用していないのにも関わらず(ジョヴァンニ・バッティスタ・チェルッティ)、大したものです。長くなりついでに、もう一言。この若き音楽家、録音場所であるブリュクセルの空気(ちょっと重くくすんでいる)に向かってそよと乗せたり、くいと滑り込ませて音を出している。空気を本能で嗅ぎ分けている!そう、音のきらめきが感情のとおりに出せている。エンジニアが、気持ち良さそうに写し採っている。こういうレコードが出現すると、さあ大変。トイレを済ませ、五感を磨ぎ澄まし、回転スピードを合わせ、アンプのトーンコントロールを少しづつ動かし、彼女の出したい光を見ていたくなる。なんて音楽って、こわれやすい!!先月、神尾という少女が弾くパガニーニにサブイおもいをしただけに(サントリーホールがPAを併用するからよけいに)、神尾が生まれる前にブラームスを録音した堀米がいま、どういう音楽をしているのか、聞いてみたくなりました。このレコード、ひょっとして、このリストの10分の1以下の値段でどこかにころがっているかもしれませんけど。 盤美品 ジャケット(サインあり)美品 DP グレイリスト#45から
同上 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 2番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 パレ・デ・ボーザール ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) 独DGGプレス P;R.ガイイ E;G.ストイアバウト 横浜から、千住真理子というヴァイオリニストが、この町に来た。老人介護のところが半年に一度、音楽家を呼んでいる。両親はそこに介護をお願いしているから、ついでに聴かせてもらおう、ということになった。みすぼらしい小さな集会場に、二百くらいイスを並べて、老人たちを前にヴァイオリニストは出てきた。彼女は挨拶で、ヴァイオリンの音を耳だけでなく、全身で聞いて欲しいと言った。もちろん、マイクやスピーカーは使わない。最初のヘンデルのラルゴ、ピアノが前奏を弾いている間、彼女は、顔を心持ちあげて目を閉じていた。それだけで、今日はリサイタルになる、と僕は直感した。 彼女に対して、それまで、僕は好感をもってはいなかった。何年か前、毎朝欠かさず見たNHK連続ドラマ 『ほんまもん』 のテーマ音楽(愛の挨拶に酷似している)を聞くたび、 『ひどい』 と思っていた。教育テレビの 『ヴァイオリン教室』 を見ても、ちょっと違うんじゃないの、と思ったりもした。 それが、である。僕は、このヴァイオリニストに共感した。一曲、一曲、気の利いた言葉を添えて、音楽を、ヴァイオリンを聴きたくなるような視覚的姿勢と表情を見て、会場の皆と一緒に喜んで聞くことが出来た。目を瞑って聴けば、文句を言いたくなるところはあったけれど、老人たちがああして喜んでいるのを見て、ありがとう、という気持ちで一杯になった。彼女は世界第一級の演奏家を目指すのを棄てたのではないか。その代わり、もっと近くにいる人たちに喜んで聞いてもらいたい、という志が隠れている。良い考えだと思う。思ったよりがっしりとした骨格、左足を前に広げて弾くヴァイオリニストに老人たちが花を差し出した時、ちょっと涙が出そうになった。彼女は以前の彼女ではないと思った。話は長くなるが、先週ベルギーのブリュクセルのあたりの片田舎で有望な新人のリサイタルがあるというので、誘われるまま自転車に乗って聞きに行った。会場は蝋燭の灯だけの小さな教会で、暖かい拍手に迎え入れられたヴァイオリニストがプロコフィエフとヘンデルを弾いた。ときおりの瞬間が 『神がかった』 りして、ベルギー人の小柄な演奏家に驚嘆し、共感もした。ここでも数十人の聴客が演奏家と一緒に揺れ動いていた。堀米というヴァイオリニストのブラームスを聞くと、何故か、いろいろなことを書きたくなる。長くなりついでに、若い世代の日本女性は世界的に見ても美しく優れていると思う。外国で時たま見かける日本の女性は、ひけをとらない。その魁となったのが、この堀米というヴァイオリニストくらいからではないか。『痩せ刀』みたいな第二級のヴァイオリンをひたむきに奏する姿。重苦しいブラームスのソナタが生命を吹き込まれると、輝いて風にそよぎ始めるのが見えてくる。エリザベートで優勝した直後に制作されたスタジオ録音。 盤・ジャケット共美品 DP グレイリスト#58 から
同上 ブラームス ヴァイオリンソナタ1番 2番 堀米ゆず子(Vn) J‐C.ヴァンデン・エインデン(Pf) 録音1980年 パレ・デ・ボザール ブリュクセル 紫に白抜きベルギー王室紋章ステレオレーベル(オリジナル) 独DGGプレス P;R.ガイイ E;G.ストイアバウト 少女から大人になる時期の女がブラームスを祈るように奏している。 ヴァイオリンをひたむきに奏する姿、それだけ想像しても、一粒一粒の音が音楽になって連なっていくのが伝わってくる。 盤美品〜ほとんど美品 ジャケットほとんど美品 DP グレイリスト#72 から