おじょうさん
このところ30度を超える日が続く。和菓子屋に「水羊羹」の貼り紙。ガラス戸を引き、心持ち大声で「ごめんください」・・・「こんちわ」・・・「すいません」・・・「どなたかあ」。
ようやく老主人がごそごそ「あ、まいど」「水羊羹あります?」「あ、あります、いくつしましょ」「じゃあ、ふたつ」。しばらくして奥から出てきて「底に穴開けときましょか」「お願いします」「みっかよっか冷蔵庫で持ちます」
いつだったか、この店に入ると先客のご婦人がおかみさんとお話の真っ最中。お二人しっくり和服姿で話がとぎれない。お庭の手入れのはなしに没頭中。・・・「すんませんなあ。おまちどうさんです。こちらの奥さん、おいくつだと思いますう?」「さあ、」「数えで98ですわ」「お嬢さん、素敵です」「まあ、お嬢さんやなんて、なんか買うてあげなあかんね」
彼女たちを前に、僕は丸木橋を渡る子供みたいな気分になった。

いつだったか、この店に入ると先客のご婦人がおかみさんとお話の真っ最中。お二人しっくり和服姿で話がとぎれない。お庭の手入れのはなしに没頭中。・・・「すんませんなあ。おまちどうさんです。こちらの奥さん、おいくつだと思いますう?」「さあ、」「数えで98ですわ」「お嬢さん、素敵です」「まあ、お嬢さんやなんて、なんか買うてあげなあかんね」
彼女たちを前に、僕は丸木橋を渡る子供みたいな気分になった。