2025年10月31日

TD124とOil

毎月のようにレストア依頼のTHORENS TD124が届く。多くが経年劣化で回転速度が不足している。回転が遅いと当然音楽は楽しめない、というか、論外だ。回転のトルクは弱くなって音楽にある生命力も弱い。原因はモータ内部にある。分解して底部軸受を見ると、ベアリングボールを受けるナイロン製プレイトが緑色や茶色に固形化したオイルに埋もれている。それだけではない、金属軸受(通称ピーナツ)の孔で潤滑するはずのオイルが高濃度化してシャフトを締め付けている。モータシャフトのすべての接触部が劣化したオイルで覆われていく。トルクは弱り、回転速度も遅くなる。弱体化したモータはノイズも出せない。動作時は高温に上昇し、使用後は室温にと冷却を繰り返す。製造時に充填されたオイルとは異質のオイルを注すと2種あるいは多種のオイルの混合と繰り返す加熱冷却がオイルの粘度を高くして、果ては固形石鹸と同じくらいに硬化してモータシャフトの回転を抑えつける。
写真は数種類のオイルを注ぎ足したものとモリブデンオイルを注油して化学反応したモータ底部
いずれも60年ほど経過している
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下の写真は、20年近く前にグレイでフルレストアしたTD124を再点検した際の軸受け底部。ナイロンスラストパッドのオイルの状態はすこぶる良く、感心した、というか安心した。透明のまま変色もなく粘度もほとんど変わっていない。改めてレストア完了時にグレイが一緒に付けるオイルでメンテナンスしてくれたユーザに感謝したい。同じオイルが長期にわたりTD124を守り続けてきたのを、見た。レストア後は同じオイルでメンテナンスすること、強くお勧めする
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オイルは確かに潤滑油と訳すけれど、注し過ぎると埃を呼び錆が出て金属表面を荒らす。注し過ぎるくらいなら、注さないほうが良い。これは経験から言える。

TD124 オイル注油量の目安
センタスピンドルとオイル
トーレンス 注油メンテナンス

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2025年10月

2025年10月15日