2007年04月10日

トーレンス 社会的失格者

レストア中のTD124左の写真はレストアで慣らし運転中のトーレンスプレイヤーたちです。 「リム・ドライヴ型プレイヤーのレストアについては私の友人から面白い話を聞きました。 アメリカ(北米合衆国)では、このような修理に携わる人間を社会的失格者とみなすそうです。 金を儲け、金を持つことが社会的成功の証しである国で、金にならない儲けにならない事にせっせと励む人間は、その時点で社会から相手にされないそうです。 これに倣えば、我国の技術に携わる人間のほとんどは、社会的失格者ということになります。 しかし、彼国は彼国、我国は我国であり、およそヴィンテージ・オーディオに関わる人間はアナログ機器を文化財として保持する気構えがなければ、アナログの未来は無いと思います。 社会的失格者を恐れるあまり人間失格になってしまっては困るのです。 これからのアナログは正しい情報の開示とひととひととのつながりの上に成りたつよう望んでやみません。 もう少し言わせてもらいましょうか。 いわゆるガレージ・メーカーがオリジナルに勝るシロモノを作るのは並大抵のことではありません。 彼らがモディファイと称して試みたことを、オリジナルの開発者が試みなかったはずは無いからです。 プロフェッショナルの彼らが日夜研究を行い、たどり着いたのが完成した製品のはずです。 ですから長期の使用にも耐える製品となっているわけで、このことは普通の常識があれば分かることなのです。 ユーザーは正しい認識を求められているのです。」 以上、仕事の相棒の言葉です。 死にかかっている機械に、彼が丁寧に命を吹き込んできたのを目の前で見てきました。 生きた機械は生きた音楽を奏でます。 こういう誠実な職人(最後まで仕事をする、やれないことをやれるといわない)はあたりまえのことを言います。 あたりまえのことをあたりまえにやる彼を社会的失格者と呼ぶ国に、僕らは住んではいないのです。


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