
雲の流れ速く、雨降り、風がひと吹き過ぎ去ると、青空がのぞいてきた。 すべて吹き飛ばされた後は、新鮮な大気だ。 大気が清浄になったところで今日は「磨く」について書く。 手間のかかる仕事だ。 磨かれるほうはどんどん輝いていくが、磨くほうの手は真っ黒になる。 力と集中と根気を要する作業で部品はきれいさっぱり、しあわせそうだ。

写真は磨き終えたトーレンスTD124のモーター・ケース。 部品を磨くのは、見た目をキレイにするのはもちろんだが、実は音のためにも磨くのだ。 主な理由は2つ。 1)静電気の帯電を未然に防ぐこと 2)錆びたり汚れたりして狂ってしまった共振周波数を元に戻すこと。 2についてもう少し書くと、TD124は部品自体の共振をコントロールして、ノイズを逃がし、SN比を稼ぐ構造に出来ている。 その結果、ため息の出るくらい見事なハーモニクスが発生する。

だから、汚れたり表面が錆びていると、プレーヤー全体の響きのバランスが狂ってしまい、音質に悪影響を及ぼす。 ハーモニクスを磨くには、ひたすら部品を磨く。 顔が映るまで。 車もエンジンを磨くと静かになったりもする。 ただし、どんなプレーヤーでも磨けばいいとは限らないそうだ。
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