2007年05月01日

ホームセンター建材GRF製作実録‐1

トーレンスレストア担当T氏がスピーカーシステムを作る気になったようです。 今月は数回シリーズでこれから製作するスピーカーボックスのドキュメントをお伝えします。 以下T氏の言葉です。 「12インチ用のGRFキャビネットは私の知る限りどこにも無いようです。 15インチが専用キャビネットと思われますが、一般家庭に持ち込むにはエネルギーが大きくなりがちですので、30センチフルレンジを使用して、小気味良くあたたかみのある音を目指して作ろうと考えます。 平面図面 これから製作する一台は、一味違う一面を持たせることにしました。 それはオフィスでのレコードの検聴という使用目的、レコードのキズ、ポップノイズ、録音状態のチェックも行うため、それらをマスクせずに欠点は欠点として過不足無い再生を意図しています。 GRFとはイギリスTANNOY社製スピーカーシステムのひとつに付けられたコーナータイプの名称で、オリジナルは15インチ(38cm)用ですから、当然キャビネットも大きいものです。 それを30cm用に仕立て直したものを作ろうと言うのですから、設計図は無く、カタログに載っている説明図から縮小して割り出した寸法でやってみます。 側面図二年ほど前に、米国仕様GRFを製作しました。 これはコーナー型ではなく、キャビネットの振動をアースするのは床のみと言う基本設計のために、キャビネットの振動の大部分はキャビネット自らによりアースしなければならず、解決法としてホーンを外箱で覆うという二重に手間の掛かるものであり、開口部の裏面にはマフラー効果を持たせた袋小路チェンバーを組み込む複雑な内部構造になりました。大変手間が掛かるため、もう二度と作ろうとは思いません。 使用するスピーカーはフィリップス30cmダブルコーンタイプ、フィックスドエッジ、やや深めのコーン紙です。 ハイ上がりで元気一杯の鳴り様、しかし品は悪くありません。 フィリップス正面スピーカーユニットの素性は大切で、どんなに良い音で鳴っても、品格を具えていないと、だんだん聞く気がしなくなってくるものです。 このスピーカーのデータは、良く似た形で73年のオーディオカタログに載っています。 そこにfo45Hz とありますが、周波数特性同様まったくあてには出来ないでしょう。 フィリップス横







このスピーカーは同じ構造でも細部で異なるものを2個所有しており、前回米国仕様GRFに使用したフィリップス同系のものはコーン紙が黒く、ウーファー部に一本コルゲーションが入っており、マグネットもこれよりも長いものでしたし、コーン紙はRCAと似通っており、はじくと弾力があり、取り付け用ネジ穴がなくクランブ金具で取り付けました。 フィリップス斜め今回のものは、ご覧のように取り付け穴があり、コーン紙はJBLのフィックスドエッジタイプ(130系)に似ていて、上記のフィリップスよりも音が前に出ますが、キメのやや粗い傾向があります。マグネットはやや短めです。 どちらもきわめて高能率で、レコードプレイヤー、アンプリファイアの良否により、著しく音質が変化します。 逆に申せば、レコードプレイヤーとアンプリファイアの状態のチェックも可能です。 特に歪みには敏感に反応します。」 上二枚の写真は、ベニヤ板に引いた実寸平面と側面図面です。 角倉了以か伊能忠敬の測量図っぽい。 スピーカーを穴の開くほど眺め、音をとことん聴いてT氏が引いた図面です。 つづく

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