2007年05月03日

トーレンス ゴムダンパーの誤解

以下はトーレンスのレストア担当T氏の意見です。 『ゴムダンパー(ゴム・サスペンション・ダンパー)はゴム・ブッシュあるいはグロメットとも呼ばれ、三箇所でモーターを支えるゴム部品の名称です。 トーレンス124型について雑誌や評論では振動防止のうえできわめて重要な部品として記述されていることがほとんどですが、実は振動の吸収という作用に関しては、チマタで語られるほどの役割は果たしていないのです。 ゴムダンパー 1それよりも、モーター振動の絶縁(吸収ではなく)と、弾性を利用したモーター本体の高さ調整としての役割のほうが重要なのです。 振動ノイズについては、モーターの精密な調整作業による振動の大幅な軽減あるいは大部分の除去を優先的に実施して完結すべきであり、決して必要以上に、ゴムダンパーに責任を負わせるべきではありません。 ゴムダンパーはシャシーフレームに嵌め込まれ、その穴に入る三本のモーター取り付けロッドのうち二本はモーター本体の組立てネジとしての役目も担いつつ、振動アース体としての役目も兼ねています。 しかしこの二本のロッドはあくまで自己完結のアース体として位置づけられます。 モーター支持ロッドもう一本はモーター上部カバーに固定されたステーに垂直方向に取り付けられたロッドで、他の2本とは振動パターンが異なるのです。 すなわち、前記2本の振動は構造上直線的な振動をとりますが、このロッドは水平方向のステーを介しているため異なる振動になるのです。 ここで初めて、モーター本体のチューニング法、長短方向の振動・共振を同調させない方法が生きてくるのです。 もし、それぞれの振動波長が同調してしまうと、モーター本体より直接伸びた2本のロッドが同位相で共振して、振動ピークは大幅に増幅される結果となります。 これはゴムダンパーの絶縁能力に余分な負担がかかるので、124型の性能の低下をもたらします。 ゴムダンパーは下に位置するアルミ製熱防御三角板に接触しないよう注意してください。 もし接触すると、三本のロッドの振動を交互に伝導してしまい、振動ノイズのループ現象を誘発を招く場合があります。 ゴムダンパー 2ゴムダンパーの寿命については諸説あり、50年前の最初期型でも継続使用可能なほど頑丈なものもある一方、後期型のマーク兇任睥化による使用不能なものもあり、一概に何年とは断定できません。 ゴム素材で大量生産された工業製品ですから、品質にムラが生じるのは当然のことであり、使用条件や環境により痛みかたも千差万別です。 実際にレストアしていますと、明らかに代替品(正規ルート以外の部品)が多いのも事実です。 これら代替品は原材料が良質のものがほとんど無く、硬化して弾性が失われたり、逆に軟化して変形して使用不能になっていたりしています。 代替品とオリジナル部品が混じって取り付けられた場合も問題です。 これが結構多いのです。 モーターの重量に耐え切れず、必要以上に沈み込むためモーターの高さが不ぞろいになり、水平がとれないためにモータープーリーが傾斜してステッププーリーと同一水平線上から外れるためにベルトが僅かにねじれ、ランブルが発生して不要な振動を招くことがほとんどです。 ゴムダンパー 3しかし正規新品部品でも、似た現象は起こります。 それは三本のロッドの負荷重量がそれぞれ異なるためです。 それを考慮して、モーターを適切な高さに保ち、かつ水平を維持してベルトとプーリーのノイズを最小にしてトルクを最大にするレストア作業はとても重要です。 最後にEリングも大切な部品です。 これがロッドに切られたミゾにきっちり嵌め込まれていないと、ゴムダンパーの絶縁効果が低下してノイズの増大を招きます。 Eリングにも裏表があり、これをきちんと揃えて組むべきです。 何よりこのEリングがモーターを吊り下げているわけですから、決しておろそかには出来ないのです。』 ゴムダンパーが振動を吸収してくれてノイズを減らすと誤解しているユーザーがとても多いのですが、実際はモーター本体を精巧に調整してノイズを最小限にして初めて、ゴムダンパーが正常に働き、良質な再生音が得られるのだ、とT氏は言いたいのでしょう。 モーターノイズをゴムダンパーのせいにしてはいけないのです。 モーターがノイズを発生する限り、いくらダンパーを変えたり二重ダンパーサスペンションにしても決して根本的な解決にはなりません。 


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