2007年05月10日

ホームセンター建材GRF製作実録‐2

レストア担当T氏による、5月1日ホームセンター建材GRF製作実録−1のつづきです。 「材料はホームセンターで購入できる桐材(おそらく中国産)で、厚さ14mm/幅30〜45cm/長さ90cmのサイズのもので重さは軽く、板の鳴りは叩くと尾を引かない響きです。 タンノイ社製オリジナルGRFも、おそらくオートグラフ同様12mm米松合板と思われますが、入手は通常では不可能ですし、仮に入手できたとしても、本体の大きさと音質の目指すさきが異なりますので、前回同様、この桐材を採用することにします。 しかも安価です。 この板材は無垢材にある芯を取り去ったもので狂いにくいのですが、湿気などにより反る場合もありますから、購入後はすぐに製作に入るのが良いでしょう。 製作に先立ち、まずそれぞれの板の共振による各部位への最適な選別を行わなければなりません。 底板板を叩いて見ます。 一番固く且つ鳴りやすいものを外側の板にあてます。 次に内部の空気室、そしてスカート部、最後に一番柔らかい部分を音道部に振り分けます。 前面部は正目の一番良い木材を選びます。 ミゾ切り







この部分は共鳴体となっていますので、一番響きの素直なものを選んでおきます。 今回は軽く響かせる意図がありますので、この部分だけ14mm厚を削って10mm厚にしました。 スピーカー取り付け部は別にやや堅めの板で作ります。 内部共鳴板は接着剤でしっかり強固に取り付けますが、外側はネジどめにします。 これは完成後ヒアリングしてあまり響きすぎる時、何らかの方法でコントロールするために着脱式にしたほうが良いからです。 嵌め込み共鳴体の中に板の鳴きを調整する制御板が放射状に設けてあります。これは裏板だけを接着します。 構造上のアイデアとして、空気室の共鳴を外側の箱板に直接伝えずに、別々に鳴らすことにより共鳴音が単純にならないための措置です。 これにより音に深みを持たせることが可能になるはずです。」 まず、これだけではわかる人はほとんどいないでしょう。 ただ、桐、材料の部位決定、ビスとめと接着材とめ、共鳴の制御、単純に共鳴しあわない設計方針などなど、噴きこぼれる独創アイデアを感じ取っていただければ幸いです。 ただし、日曜大工では無理な仕事です。 ただの箱ではないのです。


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