2007年05月28日

アイドラー・サスペンションの秘密

フルレストア担当T氏が、TD124の知られざる機能を解説します。 写真を拡大して参照ください。 「1)アイドラー・サスペンションとは、2)花形ガバナーと 3)平板スイッチジョイントと連動してアイドラー・ホイールを支持し、ステッププーリーに滑らかで安定した接触を与える金属支持部分です。 アイドラー サスペンション2 コの字型の部品を2つ組み合わせたサスペンションで、蝶番のような動きをします。 その接合部にはコイルバネが装着されており、サスペンションに適切な位置テンションを与えます。 シャシー取り付け部は、シャシーを貫通した丸棒にもコイルバネが取り付けられており、上下にコの字型部品が連結されます。 シャシー下部側は丸型のナットが2本の小ネジで留められ、そこに2)花形ガバナー下部に設けられた変速カムがスライド回転してアイドラー・ホイールの上下の高さを操作します。 1)アイドラー・サスペンション水平方向の動作は3)平板スイッチジョイントのフック状に成型された部分で制御されます。 ターンテーブル左手前方にある回転数変換レバーを動かすと、スチールベルトで花形ガバナーが回転し、平板スイッチジョイントを経由して電源がオン/オフされると同時にアイドラー・サスペンションの上下移動とアイドラーホイールの接触と離脱の制御を行う仕組みになっています。この3つの部位が124型のトランスミッション部であります。 したがって、このトランスミッション部は滑らかな作動が第一条件でありますが、実は、この三つの部位を構成する部品の材質と形に124の音の良さの秘密のひとつが隠されているのです。 振動エネルギーの方向性をたくみに変えながら、綿密な計算により製造されたそれぞれ部品における、異なる質量による吸収と、形状の変化による拡散を経て、音に有益な振動のみは残しておくというしたたかなトーレンス・エンジニア達の設計手法が見えてきます。 アイドラーこの一連の振動の消え方はドミノ倒しによく似ています。 振動エネルギーも、その処理の仕方ひとつで、妙味が出せるという事です。
トランスミッション部は回転動作の制御のためだけにデザインされた箇所では無いのです。」

写真をクリックすると拡大します


トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔