2007年05月30日

1956年批評家たちの再生装置

ウィリアムソン回路図LPレコードが我国で発売されて数年後の1956年、レコード各誌の新譜月評家7人の直接回答いただいた結果を次に紹介する。(芸術新潮昭和31年12月号)
左はウィリアムソン・アンプ回路図
下はウィリアムソン・アンプ

岡俊雄 *ターンテーブル TTO・12HA *アーム グレース・108B(オイルダンプ) *カートリッジ GE/RPX046(ダイア針) *プリ・アンプ 12AX7−6072−12AX7 *メイン・アンプ 友人の技術者が部屋の特性に合わせて作ったもので6L6PP(ウィリアムソン型) *スピーカー グッドマンス AXIOM150(指定設計のコーナー・バスレフに収めたもの)「一応の防音装置を施した部屋で聴いている。 まず、どうにか・・・、というところ。 十二畳位のスペースと、もっと良質のカートリッジとスピーカーとが欲しい。 2ウェーは難物だと思うので、まだそれに改作する決心がつかぬ。」
大宮真琴 *アーム ピッカリングの12吋 *カートリッジ GEのシングル(ダイア針) *アンプ 日本サウンド6L6PPのコンプリート *スピーカー 2ウェイ グッドマンス12吋 部屋は十畳の洋間。 アンプを英国製に変えたいとか。
田代秀穂 いろいろな事情から、やむを得ず簡素な装置で我慢している。 だが、機さえ熟せば、出来る限り立派な再生機を作る意向らしい。
垪和昌夫 *プレイヤー ガラードRC80(ダイア針) *アンプ 友人に作らせた6L6PP(ウィリアムソン型) *スピーカー RCA新型12吋 六畳の和室で聴く。 もっと良質のものにしたい模様
福原信夫 *ピックアップ リオンP180とリオンTA101(ダイア針) *アンプ 山水コンパクトPMR500(6W)と自作の6V6PP *スピーカー ナショナル8PW1を2個(同型のバスレフに入れたもの) 「二個のスピーカーと六畳の和室三間とを適当に使い分けている。 鉄筋コンクリートのアパートなので反響度が大きい。 山水のアンプは仲々効果的で便利。 出来れば、コンデンサー・ピックアップに変えたい。」
村田武雄 *ピックアップ スタックスのコンデンサー型(カートリッジ20Aと10A)ダイア針 *アンプ 6L6PPウルトラリニア(ウィリアムソン型) *スピーカー 3ウェー 高音(加藤研究所マッシュルム・ベル)中音(ダイアトン6.5吋)低音(不二音響12吋) 「製作者の希望から、バルブに外国品を使った外は、全部国産品で作った。 アクースティック風の音色とハイ・ファイの性能とを抱き合わせたものとして、一応満足している。 批評の万全を期すために、ツィーターを取り付けたコロムビアの360型も使う。 部屋は十五畳の洋間」
藁科雅美 *ピックアップ GEのゴールデン・トレジャーをグレースのG180Gに取り付けたもの(ダイア針) *アンプ パイオニアHF10A(6V6PP) *スピーカー パイオニアDN3型の3ウェー、高音(PT1)中音(PM6)低音(PW12A) 「部屋は、六畳の和室。 長期計画で、次々と改善の予定」 
以上が1956年当時レコード評論家諸氏の再生装置のラインアップである。 ウィリアムソン・アンプオールドファンには懐かしい型番がずらりと並んで、当時の世情が偲ばれることだろう。 カートリッジはGEのバリレラが主流であり、アンプは6L6PPのウィリアムソン回路アンプが多いようだ。 部屋は6畳の和室からせいぜい15畳まで。 中には簡素な再生装置で批評を書いている方もいらっしゃる。 この時代、プロでこの状態だとすると、レコードとオーディオを趣味にするアマチュア愛好家は随分肩身の狭い思いをしていたとお察しする。 肩身が狭いのは五十年経った今も同じ?

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