2007年06月05日

ホームセンター建材GRF製作実録‐7

T氏のスピーカー談話の続き。 今回は板材の選定について。 「使用する板材は中国桐の集成材です。 集成材と呼ばれていますが、実際は単板を適当な巾に切った板をただ巾広に接合したもので、ほとんど単板に近い性質に近いのです。 切りはなし材料
製作にあたっては、板材の振動、共鳴の進行方向をよく見極めて適材適所に板の部品を面割りしていかなければなりません。 音は木目なりに進みますが共鳴音の高低は板材の巾と長さによって決定します。 GRF型は音道に関しては板材の長さは一定ですから、あとは板材の巾により起きる固有の共鳴だけを考慮すれば良いわけです。 板材の選定は、まずフロントバッフル部に木目の素直なあまり堅くない部分を選びます。 これは音振動の伝導速度を早め、かつ必要以上に鳴らさないためです。 一番堅い部分は空気室の左右の板に充てます。 音道部・上部・下部は左右の共鳴音が同じようなものを選びます。 フレアー部、一番外側の板はわりあい広い面積で音圧を受け止めますが、この部分を堅めの板にしますと妙な共鳴音が発生しますので、全部の板の中でも一番鳴らない、極端に言えば、バルサ材に近い鳴り方をするものを選ぶのが良いでしょう。 桐集成材は、450x910x14(約1000円)を11枚ほど、450x1820x14(約2000円)が2〜3枚あれば、このエンクロージャーを製作することが出来ます。 釘・ネジ・塗料など他の経費を含めて、ホームセンターで35,000円ほどの出費です。」 材料の木目や堅さで音の伝わり方や反響が違ってくるのはわかるが、それをどういう風に生かすかは経験と試行錯誤にたよるしかないのだろう。 てんとう虫板には元(モト=根)と先(ウラ=天辺)があって、その素性を知って木を生かしながら製作していく。 ただ木を四角く切って、箱を作っても駄目なのだそうだ。 音楽と同じく魂を吹き込むようにつくるのだそうだ。 実際過去の自作例集などには、そういうことは書かれていない。 それを知らずに、良い結果が出るはずがないのは、素人でもなんとなくわかる。 今そのスピーカーから、デスピーナがアリアを(「コジ」第2幕)可愛くさえずっている。 だれかと見れば、グラシエラ・シュッティ! 小音量で興味を惹かせ、聞き耳を立たせ、音楽にのめりこませる。 良いスピーカーに欠かせない要素だ。  

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