2007年06月19日
TD124EMPORIUMモデル
トーレンスのHPで紹介させていただいた、TD124初期モデルEMPORIUM仕様について、問い合わせがずいぶんと多かったので、少し説明させていただく。
初期モデルとは製造番号が1001から16000番台までのTD124を言う。 現在15台に1台くらいが初期モデルになろうか、いずれにせよレストア可能の保存状態となると20台に1台くらいの割合になろうか。
初期モデルの特長は、シャシーの造形が後期モデルよりも隆起が筋肉質である、モーターの刻印番号が20000番台くらいまでの形状ががっちりとした造形である、HPにも書いたが最大の特長はセンタースピンドル軸受け部が黒いプラスティック製である、他の部品も全体に後期のものより重厚長大の傾向が強いなどなど。 ただこのプラスティックスピンドルを正常な状態で保存されているのは皆無に等しい。
実はスイス本国でもこのプラスティック軸受けを完全にレストアできる職人はいない、と断言できる。 レストア担当のT氏は、この軸受けこそTD124のオリジナリティを発揮できる音質の根源であると直観し、彼自身が製作した特殊な工具と驚異的な集中力で困難な作業を発案した。 これにより、プラスティック軸受けの本来の味わいを、数に限りはあるが紹介することができるようになった。 もちろんこれは我国だけで販売することになる。 

写真のように、プラスティック軸受けを恐ろしくスムーズにスピンドルが沈んでいくようにするには、通常の技術では不可能である。 非常に濃密な味わいのある回転は、こうして練り上げられた職人技から得られるのである。 以下はT氏の言である。 『EMPORIUM(エンポリウム)仕様は通常のレストアよりさらに上を目指したものであり、すでに何度も説明しておりますがTD124はすべてのパーツが絶妙なバランスの上に成りたっており、それ以上のものを求めるとなると、性能上の安定性に問題が生じます。 その安定性の諸問題を解決するためには、仕上げて後の長期間(少なくとも半年以上)にわたるエージングと念入りなバランス鳥が必要不可欠となります。 念入りに仕上げたのちに販売にかけられた初期型モデルは、一年ほどの時間をかけて慣らし運転とシェイクダウンをいたしましたが、その間も常に各パーツのアタリとバランスのチェックを実行し、僅かでも不具合が生じましても取り外して、一から調整をしております。 それらは音の洗練という結果となってくれました。 TD124はそれだけのことをする価値のある機械だと証明されました。』 これはT氏にして半年から一年掛かる作業であり、通常の修理というかたちでは、絶対に満足には程遠い状態にしかならないはずだ。 プラスティック軸受けだけではなく、初期型モーターのレストアも普通の修理では期待するというのはどだい無理な話だ。 その音質の素晴らしさは、僕がレコードリストを書くときのリファレンス装置に使用しているのからして想像していただけると思う。 音楽性である、根音の味わい深さ、そして音の色の麗しさである。
まぶしい朝をたっぷり歩く。 歩きながら、練習中の合唱曲が頭の中でリズムを取っている。 はじめはあまり好きではなかったが、こうして何度も練習するようになると、情が移っていくものだ。 これからどんどん生徒たちは気持ちを乗せて歌えるようになると思う。 
それから、きのう父に頼まれて、爪にヤスリをかけてやった。 坊ちゃん育ちのせいか、すごく柔らかい手をしていて驚いた。 何十年かぶりである、父の手を持ったのは。
それから、きのう父に頼まれて、爪にヤスリをかけてやった。 坊ちゃん育ちのせいか、すごく柔らかい手をしていて驚いた。 何十年かぶりである、父の手を持ったのは。