2007年07月06日
アースは必要
鬱陶しい日々。 再生装置もあちこち不具合が出てくる頃。 そういう時は先手を打って、トラブル防止ついでに、普段出来なかったことをして音質に磨きをかけよう。 まず、誰でも思いつくのは真空管端子のクリーニング。 普段は月一度の真空管の抜き差しで済ましているが、こういう時期は一度全部抜いて、足をきれいに磨く。
それぞれの方法があろうが、僕は無水アルコールと布で拭く。 古いアンプの場合、接点復活材は絶対に使用してはいけない。 ついでにアンプのほこりも払う。 それからピックアップまわりの接点も綺麗に。 出来るだけ薬品を使わずに拭く。 これだけでも随分と音質に出る。 ターンテーブルのアイドラーやモーター周りのクリーニングも。 スピーカー・コード取り付けネジの締めなおし、これはスピーカー側も点検する。 この時期、接点という接点には膜があると思って間違いない。 コードまわりのほこりもふき取る。 以上のようなことはガイドブックにも書いてあることなので、これ以上は省く。 これからは意外とポイントになる箇所について書く。 それはアーム軸受け部の調整。 軸受け取り付けプレートのネジは、音質に直結するから大切だ。 取り付け板が金属の場合は、最後まできっちり締め込めば済むが、難しいのは、木の場合だ。 この締め具合で、音色がふんだんに溢れ出るか、貧相な響きになるか、決まってしまう。 以前、レコードをかけながら、このネジを締めたり緩めたりしてみたが、音色の出方が無段階に変化して驚いたことがある。 ただし、真似をするのはいいが、手元が狂うと、取り返しのつかないことになる可能性も高いので、あまりお勧めしない。 それから、取り付けネジのそばにあるもう一本の重要なネジ、高さ調整ネジもクセモノである。
1ミリ以下の単位で上げ下げするだけで、周波数の密度の高い部分が変化する。 これは同じアームを何年も調整してみない限り、最高のポイントは決まらない。 それから、ノイズやハムにはもちろん、音質に予想外に影響するのが、アースだと思う。 高価な装置を念入りに調整している愛好家なのに、アースをちゃんと地中からとっていない人が多いのに驚く。 アースをちゃんとアンプから地中に取ると、違うのは歴然としている。 『アースを何故取らないんですか?』とオーディオマニアに聞くと、ほとんど『そうですね、でも、あんまり変わらないんじゃないですか?』と切り返される。 でも、変わります。 昨日、装置のアースの取り回しをやり直してワンポイントに集めてみたら、愕然とするくらい音の振幅が深くなり、当然ながら、今まで聞こえなかった音の色が見えている。 血管の中の血がちゃんと流れている感じ。 音にこめられた喜怒哀楽の間の情感が、聞こえてくるこないの問題でなく、ミルシテインのヴァイオリンが、花柳章太郎にある庶民芸の厳しさと同じ水準で語れるくらいの音を出す。 アーム本体のアースを接続するだけでも、音質がぐっと向上するはず。 是非アースを。