2007年07月11日

ゲルハルト・ボッセさんからの伝言

午後、縁あってゲルハルト・ボッセさんのお宅にお邪魔した。 伝説のヴァイオリニストである。 中学生の合唱団に何かアドバイスを、とお願いした。 『君たちが合唱団にいるのは、とても幸運なことですよ。 というのは、「歌う」ということは音楽の一番の基本だからです。 その基本になる合唱は、きっとあなたがたの音楽のはじまりとなることでしょう。 ハンガリーの作曲家コダーイは民謡を合唱曲に編曲して、自分のクラスの生徒たちに毎日一時間歌わせました。 一年して、そのクラスは他の科目の成績までずいぶん向上したのだそうです。 「歌う」ということは想像力やファンタジーを育みます。 「歌う」というのは楽しいことで、学業も伸びます。 どうか「歌う」ことを続けてほしいのです。 君たちにわたしの好きな言葉を贈りましょう。 「ことばがとだえたとき、音楽は始まる」ヴィルヘルム・フォン・フンボルトのことばです。 それからもうひとつ、覚えていてほしいことがあります。 従順であるのと、規律を保つというのは、ぜんぜん意味が違うのです。 従順はいわれたままに行動することですが、規律を保つのは自発的に自分を律するということです。 あなた方が歌いたいと思うから歌う。 歌いたいということは、伝えたい気持ちがあるからですよ。 是非歌い続けてください。』 世界最古のオーケストラ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターを務め、ゲヴァントハウス四重奏団のリーダーだったヴァイオリニストからの伝言。 他にもずいぶんと長くお話をお伺いしたので、それはまたレコードリストに詳しく書き置くことにする。 85歳にして、ますます音楽に対して熱く、近くベートーヴェンの4番と6番をいずみホールで指揮なさるとのこと、聴いてみたくなった。


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