2007年11月08日
AFTERNOON IN PARIS
1956年、パリ・サンジェルマンのクラブで演奏していたMJQと親しかったサシャ・ディステルは、Versaillesレーベルのオーナーだった叔父に録音を依頼する。
録音は12月4日と7日。 パリの寒さも一緒に刻み込まれている。 フランスで録音された盤の再生は、非常に楽しい。 音が横にひろがるというより、縦方向にジャンプすれば、独特のエランが得られて、俄然音場が活きて来る。 それには、フランスのカートリッヂ、ピエール・クレマンがかかせない。 ダイナミクスに冷たさが無く、それでいてクールなのだ。 針先だけアングルをつけて、あとはすべてストレートというデザインのユニークさは、50年代から60年代前半モノーラル全盛時に、他のオーディオデザイナーから羨望の視線を浴びていたのは事実であるし、実際、フランスのシリアスなコレクターたちは、ほとんどこれを所持しているという事実からも、このカートリッヂが一種の魔性を発しているのがわかる。 

フランス国立放送はもちろん、フランスのレコード会社のほとんどがリファレンスに使用していており、ただの放送局の音出し用ではない。 このカートリッヂはとにかく音を横にではなく縦に放り投げる。 ドビュッシィの再生にも欠かせないし、サンジェルマン裏手のかじかむ寒さが出せるのも、この小さな赤い円筒形の発電体なしには考えられない。 オペラ歌手が艶歌を歌っても、本質に迫れないのとおんなじだ。 アングロサクソンのカートリッヂがどんなに頑張っても出ない、音の言質がここにある。
フランス国立放送はもちろん、フランスのレコード会社のほとんどがリファレンスに使用していており、ただの放送局の音出し用ではない。 このカートリッヂはとにかく音を横にではなく縦に放り投げる。 ドビュッシィの再生にも欠かせないし、サンジェルマン裏手のかじかむ寒さが出せるのも、この小さな赤い円筒形の発電体なしには考えられない。 オペラ歌手が艶歌を歌っても、本質に迫れないのとおんなじだ。 アングロサクソンのカートリッヂがどんなに頑張っても出ない、音の言質がここにある。