2008年01月12日
シリーズ カラード301 その2
以下T氏
ガラード301のレストア及びファインチューニングの主旨
かつてスイスでTD124のレストアを学んでいた時、ユルク・ショッパー氏に「ガラード301」をどう思うか聞かれた事がありました。
それに対して私は高速トラックと答えたのです。この高速トラックと言う本当の意味は、昔、故エンツィオ・フェラーリ氏がカーレースで、決して流麗とは言えないスーパーチャージャー付のベントレーに負けた時言った「ムッシュ・ベントレーは世界一早い高速トラックを作った」と言った故事に由来するのです。私が301を高速トラックと呼んでいるのはこのベントレーをイメージしてのことで、決してガラード301を馬鹿にしている訳ではないのです。
さて今回のガラード301のレストアにおいては、以前TD124と301の再生音の比較テストでの感想として301は、TD124に比べて再生時における音の数、音ののび代が少なく、仮にレストアを施しても良い結果を得られないと書きましたが、今回301をよく観察した結果、私なりに思いついたところがあり、301にも301なりのチューニングを行えば何とかなるのではと感じたからでした。
まず音の数が少ないという事について考えてみますと、ガラードと同様の構造を持つ他のプレイヤー達、仏クレマン、英国コニサ、米国レコカット等はその様な事はありません。なぜ301のみにこの傾向が生じるのかを考察してみたところ、それはモーターノイズの質によるものではと思いつきました。振動の質も重要ですが、モーターノイズの質はさらに重要な要素なのです。この質の良否は、再生時には品格となって現れてきます。ノイズ成分の性質は言葉では言いがたいもので、それは絶えず性能の向上をはかり、ヒアリングを行った者だけが知る事の出来るものです。
このモーターノイズ成分の引き起こす音質上の問題は、かつてTD124のモーターレストアにおいても経験した事があり、そのモーターはきわめて難物で、10Vで起動の回転したものなのですが、ノイズ成分が美しくありませんでした。このモーターをTD124に組み込んでヒアリングを行ったところ、ちょうど301と同様の現象が起こりました。TD124にしては音の数が少ないのです。回転的にはなんら問題はなく、ただノイズ成分が違うだけで音質が格段に落ちるのです。SN比もあまり上質とはいえないものでした。
このモーターは、その後数回の調整を行いなんとか合格点までもっていきました。それはこの現象を改善したなら301も今までとは異なる再生音が得られるのではと感じたからであります。つづく
ガラード301のレストア及びファインチューニングの主旨
かつてスイスでTD124のレストアを学んでいた時、ユルク・ショッパー氏に「ガラード301」をどう思うか聞かれた事がありました。
それに対して私は高速トラックと答えたのです。この高速トラックと言う本当の意味は、昔、故エンツィオ・フェラーリ氏がカーレースで、決して流麗とは言えないスーパーチャージャー付のベントレーに負けた時言った「ムッシュ・ベントレーは世界一早い高速トラックを作った」と言った故事に由来するのです。私が301を高速トラックと呼んでいるのはこのベントレーをイメージしてのことで、決してガラード301を馬鹿にしている訳ではないのです。
さて今回のガラード301のレストアにおいては、以前TD124と301の再生音の比較テストでの感想として301は、TD124に比べて再生時における音の数、音ののび代が少なく、仮にレストアを施しても良い結果を得られないと書きましたが、今回301をよく観察した結果、私なりに思いついたところがあり、301にも301なりのチューニングを行えば何とかなるのではと感じたからでした。
まず音の数が少ないという事について考えてみますと、ガラードと同様の構造を持つ他のプレイヤー達、仏クレマン、英国コニサ、米国レコカット等はその様な事はありません。なぜ301のみにこの傾向が生じるのかを考察してみたところ、それはモーターノイズの質によるものではと思いつきました。振動の質も重要ですが、モーターノイズの質はさらに重要な要素なのです。この質の良否は、再生時には品格となって現れてきます。ノイズ成分の性質は言葉では言いがたいもので、それは絶えず性能の向上をはかり、ヒアリングを行った者だけが知る事の出来るものです。
このモーターノイズ成分の引き起こす音質上の問題は、かつてTD124のモーターレストアにおいても経験した事があり、そのモーターはきわめて難物で、10Vで起動の回転したものなのですが、ノイズ成分が美しくありませんでした。このモーターをTD124に組み込んでヒアリングを行ったところ、ちょうど301と同様の現象が起こりました。TD124にしては音の数が少ないのです。回転的にはなんら問題はなく、ただノイズ成分が違うだけで音質が格段に落ちるのです。SN比もあまり上質とはいえないものでした。
このモーターは、その後数回の調整を行いなんとか合格点までもっていきました。それはこの現象を改善したなら301も今までとは異なる再生音が得られるのではと感じたからであります。つづく