2008年01月18日

シリーズ カラード301 その8

 以下T氏

ガラード301 レストア後記

レストアを完了した301の再生音は随所に英国的な響きを聴かせてくれる独自の風格をもつものでした。機械的には同じ英国製プレイヤーであるコニサーのようにギミックに満ち溢れたものではなく、極めてまっとうな仕組みと機能美をもつものであり、レストアにあたり明確な意図をもって望めば十分に使用する者の期待に応えてくれる優れたレコードプレイヤーでした。

今回のレストアにおいてはいわば初心者の立場で臨みましたが、それは何がしかの知識や先入観により301の本当の姿を知るさまたげになると考えた為であります。ただ301という製品に対し、その機械の意味と設計者が求めたであろう301の再生音を考えて、ただ現物の301のみを見て301本体に聞いてみようと思った結果なのです。結果として301というレコードプレイヤーはその機能性と性能を上げれば上げるほど英国調とでもいうべき再生音を聴く事ができました。しかしこのような結果を得るには、各部の入念なセッティングとモーター本体のファインチューニングが必要です。
ガラード301は比較的簡単な修理でも、その性能の90%くらいは出せるという優れた設計と精度を持つものですが、現在のオーディオ的見地から見ればこの事がかえって欠点となりうる危険性を秘めている事も事実ではあります。残りの10%がきわめて重要であり、これを獲得するにはTD124ほどではありませんが、やはり各セクションの総合的なバランス取りが必須となります。又、今日のオーディオ事情等においては、仮に301が100%新品時に復元できたとしてもまだ十分であるはとはいえず、もう10%ほど上げておきたい所なのです。これは中々の難事であり、これを可能にするにはメカニック的な手法とは別のものが要求され、それは音楽に対する関わりあい方と音楽的なセンスともいえる領域に踏み込まなければ獲得できないレベルのものになってしまうと思われるのです。
これらをクリアー出来たなら、301をさらに音楽に寄り添うプレイヤーとして未来に残しておけるはずです。  つづく



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