2008年01月19日

シリーズ カラード301 その9

 以下T氏

ガラード301のヒアリングテスト

ガラード301のレストアを終えて気づいた事は301をレストアするには何も特別な技術は必要なく、少し機械いじりが好きな人ならある程度の音を出す事は比較的容易であるという事実でした。レストアに要した時間も程度の良いものであるなら2日もあれば十分でありトランスミッション部を外し錆を取るとなるともう一日かかります。しかし301から最善の音を出すとなるとまた話は別で、もう少し高度な技術が必要となります。
さてレストアとファインチューニングを終えたガラードの音は以前とはまったく異なった音であり、色彩感とハーモニクスが格段に上質なものとなり、音のあり方もガラード301はアウトラインをきっちり出す事が得意なフォノモーターでしたが、今度はそのアウトラインの中身がきっちり詰まったものとする事ができました。響も英国調を失う事なくシックなものになりました。音の数はTD124にはやはりおよびませんが、ガラードらしい暖かさは十分出ています。色調はTD124のパステルの柔らかさより、つやを落とした油絵の感じであり、やや赤みがかった音の洗いざらした緑色系の音に鮮烈なホワイトがアクセントとして加えられるという感じでした。
今回レストアしたのは3台ですが音はそれぞれ微妙に異なった所のあるものでそれはパーツ類の質とモーターの起動電圧のボルテージの差による所があると思われます。3台の301の起動電圧は8V、10V、12Vで、8Vのモーターを使用したものは80Vで動かさないと100Vでは回転が早くなってしまう問題が発生してしまいました。しかし音の切れと鮮度は抜群のものがあります。ボルトが下がるにしたがって音は、渋みを出してきます。10V仕様が一番使いやすいものでした。これらのモーターはレストア前は25V〜35Vでの起動でしたのでモーターの性能としてはかなり向上したことになります。
総合的には、今までのガラードからは聴く事の出来なかったクリアーでかつ渋いという英国トラディショナルな再生音を得ることが出来たと思っております。  つづく



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