2008年03月21日

文句なしのモノーラル

モノーラルを鳴らすためのTD124を依頼されて、ひと月かかって音を出すまでにこぎつけた。 最初期のTD124はプラスティック軸受け仕様、原始的ともいえる212アームにFONOFILM を取り付けてみた。 FONOFILMモリーニのブラームスのヴァイオリン協奏曲のヘリオドールのテストプレスに針を下ろす。 序奏部のオーケストラの弱い盛り上がりなのに、もう地の響きがする。 天井の高いウォルサムストウ・アッセンブリーホールのただなかに瞬間移動。 生々しい録音会場の臨場感。 高まる予感。 やおらソリストが弓をひきしぼると、すごいことになった。 雄弁な音の芯が、肥大しない。 密度の濃い、練れた音の肉感。 ヴァイオリンの擦れる感じが手ごわい。 音楽の芯に、ヴァイオリニストのエロスが潜んでいるのが見えるからたまらない。 オリジナルアームボード水晶の虹が勝った透明質で音場が支配される。 この透明は、MCトランスをアームボード裏に取り付けたせい? それが実感できる。 音が早く、音離れがいい。 そそりたつエネルギーなのに、うるさくない。 音のたたずまいが美しいからだろう。 SK212







音がすっくと立ち上がるのは、T氏がずぶとい回転の質に仕上げてくれたおかげ。 音の先まで、音楽がぎっしり詰まっている。 1枚のレコードを聴くと、10枚くらい聞いたくらいに満腹になる。 シナトラの声に媚がない。 伴奏の楽団メンバーの優秀さにも驚く。 こういうプレイヤーは、良質のモノーラル盤をどんどん欲しがるから、聴くほうもタフでなければ、つとまらない。



トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔