2008年04月10日

イルメリン

広い青い空から強烈な光線が降り注いでいた。 黒い河が静かに渦を巻いていた。 村の道は人もおらず、からんとしていた。 それでも、強力な光線の下を歩くひとに尋ねてみると、『シュパ』『デゾレ』と首を振られてしまう。 役所では『そんな人は知らない』とそっけなかった。 三十年ほど前、グレという村で、デリアスの棲家をつきとめようとしていた。 ゆっくり黒くとぐろを巻いて流れていたのは、たしかに老作曲家が見えていた河だった。 かすかな風が暑い日の河の上を流れていたのも憶えている。 イルメリンの前奏曲が耳によみがえったのは、先週、よく晴れた道を歩いているときだった。イルメリンへの径


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