2008年04月30日

ふたたびTD124 その現状とチェックと対処について

TD124をお持ちのお客様からTD124の不調についてのご質問をたくさんいただきます。 TD124はレコードプレイヤーとして精巧にかつ複雑な仕組みですから、現時点で不調なのは当然であり、市場にあるTD124を満足する状態、本来のTD124に戻すためには、レストアの必要があります。 これは以前から言い続けてきたことです。 TD124はマーク気糧売より50年、マーク兇任錬苅闇という歳月が経過しており、ヨレヨレ状態であたりまえなのです。 人間でも50年も働けば立派な年金受給者であり、病院通いは必然であります。 とびっきり裏面TD124も長い間使用されてきており、現状ではすでに年金受給者であるTD124を鞭打って働けといっているのが現在のアナログオーディオ界でのTD124の置かれた状況といえましょう。 一概にレストアといってもなかなか決断ができないと思われ、お手持ちのTD124が、現在どのような状態であるのかをお知りになればレストアを決断するにあたりお役に立つと思い、TD124の症例を書いてみることにします。
TD124の不調はまず電源をONにした所から始まります。 動くにはそれなりの理由があり、動かないのにも理由があります。 電源を入れずにおかれたTD124はいわば置物であり、電源を入れた時点でTD124のワークが始まるのです。 別の見方をすれば、ここからTD124の不調が始まるといえるわけです。 この時点でモーターが回らず、ストロボもつかないという場合は電源スイッチ部とそれを作動させるトランスミッション部の不具合によるものでそれらを総点検しなければなりません。 モーターは動くがストロボはつかないという場合は、ストロボ球の寿命が尽きたか、接点の汚れによる通電の不具合によります。ストロボ球が点灯するのにモーターが動かない場合、モーター内部のピーナツ金具及び回転部の汚れが原因です。 トーレンスのモーターは本来定期的にオイルを注入すれば汚れが外部に排出されるようになっていますが、長期間使用してなかったり、オイルの注入がなされなかった場合、回転部にオイルかすがペースト化してローターを締めつけ、ローター本体を動かなくしてしまいます。 モーター本体の断線は今までレストアしたTD124において1台も無かったので、まず疑う必要はありません。 とりあえずTD124が起動したら、次の問題は定速に達するか否かです。 完全にレストアされたTD124は約2回転くらいで定速に達し4回転ほどで安定したものとなります。 これ以上かかるようなら、そのTD124は基本的な性能が落ちていると考えられます。 プラッターをはずして確認し、各回転系の調子をみなければなりません。 ベルトの具合を確かめます。 多くはオリジナルといいながらも代替品が入っており、これらはオリジナルに比べてかなり劣った製品である事が多いのです。 良質なベルトを装着するのが一番重要です。 オリジナルでも、すでにかなりの年月が経ってベルトとしてのトルク伝送力がすでに限界を達しています。 次にベルトをはずし、モータープーリーを手で回して回転落ちを確かめます。 手を離して5回転以上回らない場合はモーター内部に問題が生じています。 次に電源スイッチをONにし、プーリーに回転をあたえOFFにします。 これはモーター内部の具合をさらに詳しく知るためのものです。 この場合、電源OFFで10秒以上でなければそのモーターは要レストアです。 次にステッププーリーの点検ですが、このステッププーリーは凸型と傘タイプがあるという事をすでに書きましたが、凸型のステッププーリーの鳴きや異音についてはアイドラーとの兼ね合いによる場合が多く、たやすく鳴きを抑えるのは難しいのです。 傘タイプはシャフトが長いため鳴きは少なく、アイドラー動作時のノイズを受けるのは同じで、鳴きはしませんが細かなランブルがうなりとなってさらにノイズ、回転のムラ等の発生を招きます。 モーター振動ノイズの問題を除いて、回転系の不調はモーター自体の不調が主であり、ゴムベルト、ステッププーリー、アイドラー等の不調がモーター自体の性能に反映するためにSN比の悪化、回転の不規則となって悪循環となってしまいます。 この現象は、モーター自体が比較的健全でも、その後に続く回転系の不具合により発生します。 つまり回転系ではどこに不具合があっても、所定の性能は得られません。 ここまでクリアーできたら次は回転変換レバーの具合をみます。 切換レバー下部の円形部品から、カム金具まで小穴をもうけたスチールベルトで各伝達部品を連動動作させる機構になっています。 このトランスポート部に不具合があると的確な動作は得られません。 もし無理やり使用し続けるとスチールベルトに余分な負荷がかかり、スチールベルトの破損を招きます。 特にマーク兇任蓮痛んでいる事が多いのです。 ここまでの動作チェックで合格なら、そのTD124は程度の良いものといえるのですが、それはあくまで機能的に合格といえるもので、TD124本来の特徴である音の良いプレイヤーとしてのものとは別の問題です。 1108 裏面次はノイズのチェックを行います。 モーター取付部分、シャシーの左奥側に耳をつけノイズの成分の聞き分けをします。 ザザザーという音はピーナツ(軸受け金属)の変形によるもので取り替えねばなりません。 ゴトゴトという音はモーター底部ベアリング部の汚れによるものです。 オイルを入れてのちに改善されなければレストアしなければなりません。 ズズズという音はアイドラー、ステッププーリー、ベルトの不具合で、ベルトの寿命、アイドラーの変形、ステッププーリーの回転不良等が考えられます。 シャシーの運転時振動テストを行います。 特別な機材は必要ありません。 ただ手をシャシーに触れるのみで判断できます。 ブルブルと細かく振動する場合は再生音にあまり出ませんが、ブーンという音であれば影響します。 このシャシーの振動については、モーターを支えるゴムブッシュ三箇所の劣化による等の雑誌記事を時々見受けます。 前に書きましたが、このゴムブッシュはアイソレートとしての役目をもつもので振動吸収の点ではそれほど効果はありません。 モーター自体から発生するノイズはモーターをレストアしないかぎり、改善されないのは自明のことです。 ですからゴムブッシュを新品と交換しても事態はそれほど改善されません。 モーター動作上の問題はノンレストア品では当然の結果であり、市場にあるTD124はほとんどここで失格となります。 クイックスタート金具にアウタープラッターがあたり、スレ音が発生するものがあります。 これはセンタースピンドルの沈下が進み発生します。 これはスピンドル軸受け底部の部品交換で完全に元通りにする事ができます。 間違っても、この底部に真鍮製の厚いブロックのようなもので抑えてはいけません。 TD124独自のハーモニクスゆたかな音質が台無しになります。 また注意すべきはスピンドルにあまりオイルを入れすぎない事で、TD124のスピンドルとスピンドルボックスとのギャップは狭いのでオイルを必要以上入れすぎる逆に回らなくなり、音質的にも抜け切れないものになります。 最後はシャシーのチェックですが、TD124の場合使用者のリスニングルーム環境により様々な汚れ方をします。 レストアを希望されるTD124の場合、一番時間を費やすのがシャシーと部品類のクリーニングなのです。 油まみれのものや、シャシー裏面の全面の汚れ、ヤニ等で黄色く変色したものなどは音質のひびきにに重大な悪影響をこうむります。 クリーニング前と後で試聴すると、音質の違いに愕然とします。 もしこの作業を簡略すると、再生音がかび臭く、音のぬけが悪くなります。 経験から言って、シャシー自体は乾いた状態でなければ良い音の再生は望めません。 ここまで読んで思い当たるTD124のユーザーは、レストアをすれば向こう十年は、少しのメンテナンスと消耗部品の交換により、安心してTD124の音の世界に楽しむ事ができるのです。
以上T氏
彼は飽きもせず、いや、このごろは以前にも増してレストアに熱中している。 オフィスが休みの日は、レストア中のモーターを自宅に持ち帰り、雛でも孵すかのようにモーターを懐中で暖めている、と思いたくなるほど、熱中している。 彼によれば、モーターは修理するのではなく、育てるのだそうだ。



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